読書感想:ランジェリーガールをお気に召すまま5

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ランジェリーガールをお気に召すまま4 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、ランジェリーと言う、男性にとってはあまり馴染みのない物かもしれない物から絆が始まり結ばれたこの作品も、いよいよ最終巻なわけであるが。今巻では一体、何を描いていくのか。それは勿論、恋の決着。恵太が最後に選ぶのは誰か、という話であり。そして急遽帰国した父親、太一からの試練。前巻の最後で仄めかされた、どう考えても勝ち目がなさそうな試練に対する挑戦である。

 

 

「なんで、こんなにモヤモヤするんだろ・・・・・・」

 

「どうも最近、水野さんの様子が変なんだよね」

 

ハロウィンパーティの後、雪菜に続いて瑠衣までもが恵太に告白した事で、澪の心の中には言葉にならぬもやもやが湧き出て。同時に恵太を意識してしまった事で、彼に対してぎこちなくなってしまい。その様子に恵太が首を傾げる中、嵐の時はやってくる。

 

「冗談はさておき、少し予定を早めようと思ってな」

 

 それは急遽やってきた父親、太一の訪問。人見知り過ぎて姪っ子たちと顔を合わせられないと言う事で恵太の部屋を占拠した彼は、一月以内に自分を納得させる下着をデザインしてこい、という条件を突き付ける。

 

 

一先ず幼馴染と言う事で絢花の家に泊めてもらう事になり、何とか作業環境を手に入れ必死に新たなランジェリーのデザインを考え始める中。絢花もまた幼馴染の関係から一歩踏み出そうとし。しかし、ヘタレな故に一歩踏み出せない中で、恵太の渾身の作品は、太一から敢え無く不合格を貰い。それどころか乙花が盗み聞きした話から、そもそも太一が合格させるつもりはなかったという本心を知り。後悔と、どうせ交わらぬと言う諦念の中で方向性が行き詰まる。

 

では、打開の鍵は何処にあるのか。それは、絢花の家にあった。思い出の絵本に紛れ込んでいた母親のメモ、父親のデザイン案らしいそれは、しかしリュグでは取り扱っていないもの。それは、女性にとって本当の意味での特別な日の勝負下着。母親の限りない愛情が込められていた、それこそが切り札。太一への思い、そしてリュグと言うブランドへの思い。今まで彼も知らなかったそれが、彼の心を氷解させ。ここにリュグは、恵太の手に託される。

 

「さすがに察してくださいっ」

 

そして、乙女にとって勝負の時となる聖夜。それぞれとのデート、その中で。恵太は己の心に向き合い、答えを出して。一人の少女と結ばれるのだ。

 

最後はちょっとシリアス、だけど甘さもマシマシで駆け抜けていく今巻。どうか最後まで楽しまれてほしい。

 

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