前巻感想はこちら↓
読書感想：ランジェリーガールをお気に召すまま３ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で雪菜の告白を引き出した事により恵太達「リュグ」の面々に波乱が起きる、というのは画面の前の読者の皆様も何となく予想されたのではないだろうか。正にその通り、と言えるかもしれぬ。ぽろっと漏れ出るのは基本的にはもれなく本心。言葉で飾らぬ本心だからこそその思いは真っ直ぐに。故にその思いは波乱を起こすのである。
「今思えば、あの時から誤解してたんだろうね」
前巻の最後、瑠衣から齎された彼女と恵太の婚約という衝撃的な一報。だが皆で額を突き合わせてよく考えてみれば、どうもそれは彼女の父親である悠磨の思い込みの強さによる早とちりらしいという事が判明し。とりあえず誤解を解こうとしたら、恋人ではないなら一人暮らしは許可できぬと言われてしまう。それは最悪、瑠衣のリュグからの離脱を招くもの。それを避ける為にも、ラブラブカップルを演じつつ水族館にデートへ向かい証拠を見せたら、今度はそこから婚約発表まで繋がってしまう。
一先ずそれも避けねばならぬ。瑠衣の母親であるレベッカに協力してもらい、婚約発表を別の大規模イベントに塗り替えつつ、事情を話して納得を貰う恵太。だがそれでは終わらぬとばかりに、今度は絢花が新作のモデルを拒否するという異常事態が巻き起こる。
あまつさえ避けられ始め、それどころか拒絶の言葉まで投げかけられ、失意に沈む中。妹の言葉でどうしたいか見つめ直し、仲直りしたいと言う目標を改めてみつけ。いつもの部屋に誘い出し聞き出した事情、それはダイエットをしたら胸から瘦せてしまった、というものであった。
女の子だからこそ、小さな変化も気になるもの。だけどその根底にあったのは小さいけれど確かな嫉妬心。最初から彼の側に居たのは自分なのに、このままでは取られてしまう、という本心。
そう、蒔かれた恋の種はそれぞれの心の中にあった恋心を芽生えさせ、いつも通りの仲間、と見せかけて確かな嵐を巻き起こしていたのである。文化祭、そしてハロウィン。様々なイベントをいつもの皆と時にぶつかり合い、仲直りしたりしながら。巡る恋は深まっていき、更に混迷は始まっていく。
「恵太がどんなデザインを持ってこようと関係ないんだよ」
けれど、恵太はまだ知らぬ。自分にリュグを継承させる試験を課した父、太一の本当の思いを。本当は最初から、そんなつもりはなかったのだという事を。
続かせる事を願うのならば、次巻。待っているのは父親との対決。頑ななその意を覆すことは出来るのか。
次巻、それこそが恵太の真価を問われる事になる、のかもしれない。
