読書感想:親友の妹が官能小説のモデルになってくれるらしい



 

 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。皆様は「官能小説」に分類される小説を読まれた事はあるであろうか。私は、ここ数か月くらい美少女文庫の刊行が無いな、と思うくらいには極稀程度に親しむくらいである。というのはともかく、小説という媒体で文字で表現されるからこその興奮する要素、というのもあるのだろう。それが分かる読者様も画面の前の読者の皆様の中にはおられるかもしれない。

 

 

主人公であるごく普通の高校生、竜太郎。その親友である翔太の妹、鈴音(表紙)。彼女は入学するなり学校中の話題をさらうレベルの美少女であり、学校一の美少女として高嶺の花であった。

 

 そんな彼女から妹離れできず、まるで恋人かのようにひっつく翔太の惚気に近い何かを日々聞きながら。竜太郎はひそかに鈴音をヒロインのモデルに官能小説を書いていた。そんなある日、ふとした切っ掛けから鈴音が自分の小説の読者であると知ってしまい、更にはまるで玉突き事故のように自分がその作者であるとバレてしまったのだ。

 

「本当の私のこと知ってくれませんか?」

 

謝り倒す竜太郎は、衝撃的な告白を耳にする。それは鈴音は清純でありつつド変態である事。例を挙げると、図書委員の立場を悪用し表紙を偽装した官能小説を、図書館に潜り込ませてしまうくらいには。

 

「私、先輩の力になりたいです」

 

更に彼女はもっと汚してくれてよい、と寧ろノリノリで協力を申し出て。スプーンで彼をなぶったり、ペンを取るという名目で自身のスカートの中に彼の手を突っ込ませたり、口の中で結んだお菓子を見せつけたりと、いっそ変態ちっくな様を彼に見せつける。もっともっと、自分を解放しろ、と彼の背中を叩いていく。

 

もっと行け、と彼女にせっつかれる形でランキング一位を目指す事になり。それと同時に立ち向かうのは、翔太の問題。彼が鈴音にべたべたするようになってしまった根底の理由は、竜太郎の官能小説に影響されてしまったから。そんな現状を打破すべく、寧ろ性癖を逆転させてしまおうと、ヒロインの兄の性癖を変えるべくまるごと改稿する、という難題へと立ち向かっていく。

 

まるで転がり落ちていくように、彼女の変態性まで更に高めながら。だがそれはいい方向への転がりであるのは間違いない。頑張る目的がご褒美の為だし、道中が中々に変態的であるのはまぁご愛嬌であるが。

 

「た、たまにはこういうご褒美はどうですか?」

 

 そして、鈴音と少しずつ心が近づいていく。だからこそこの作品は間違いなくラブコメなのである。変態ちっくな描写に変わった笑いが漏れるかもしれないが。

 

ドタバタなラブコメにくすりと笑いたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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