読書感想:地下鉄で美少女を守った俺、名乗らず去ったら全国で英雄扱いされました。2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:地下鉄で美少女を守った俺、名乗らず去ったら全国で英雄扱いされました。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻でこの作品の主人公である涼は目立ちたくないから、という理由で言い出す事を拒み、正体を知らぬけれど彼に惹かれ始めているひなみとの、ちょっとハラハラするラブコメが始まった訳であるが。画面の前の読者の皆様も何となくお察しではないだろうか。そも、ひなみは顔も覚えておらずしかも割と純粋な方である。これ、どう考えても偽りの英雄が出て来ても展開としてはおかしくないのではないか、と。

 

 

そう思われた読者の皆様、その考えは間違ってはいない。今巻で待っているのは近くの他校と合同で行う体育祭。その他校の生徒でありイケメンでもある草柳という少年が、自分こそがあの日の英雄であると名乗り出て。ひなみへぐいぐい迫りだすのが今巻なのだ。

 

無論、涼としては自分が名乗り出たいわけでもないので、任せられる人間であれば、任せても良かった。しかしひょんな切っ掛けから聞いてしまったのは草柳の下種な本心。ひなみの身体目当てでしかない下種な思惑をぶっ壊すべく、再び彼はヒーローとなる事となる。

 

「正直俺の頭じゃ、この状況を打開する策が思いつかない」

 

しかし、先手を取ったのは草柳。SNSでの工作により、既に向こうに外堀埋めというイニシアチブはある。涼にはその状況を覆す方策までは考えつかない。ならば、外部の手を借りる。協力を求められた小春は知恵を貸すことを選び、彼女の作戦指揮の元まずは当日までの妨害工作に励む事となる。

 

その最中、とある勘違いから涼に対しどこか余所余所しくなるひなみ。その様子に首をひねりながらも、彼女を護る為に奔走する涼。

 

「大丈夫ですよ。初めからそのつもりです」

 

迷いはない。ひょんな事から出会ったひなみの家族にも頼まれた。なら迷う事はない。絶対に阻止して見せるとの思いの元、体育祭当日まで時間を稼ぎ。いよいよ本番である体育祭が幕を開ける。

 

ここまで来れば直接対決、草柳の思惑を潰すように立ち回り。時に彼が直接的に仕掛けてくる妨害の一手を、気合と根性で乗り切っていく。

 

『私はあなたを絶対に許しません!』

 

そして最後のトドメを刺すのはひなみ。感じていた違和感、そして唯一の手掛かりとして手元に残っていたものを知らないといったからその違和感は実を結び。真実に気付いた彼女は、草柳に真っ向から拒絶を突き付ける。

 

「私ももっと強くならないとね」

 

そして迎える後夜祭。悪は成敗され、涼に訪れるのはささやかな報酬。その裏、動き出すのは恋。ひなみの思いが固まった事でいよいよヒロインレースが幕を開ける。

 

本格的に恋が走り出す今巻、前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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