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読書感想:最凶の魔王に鍛えられた勇者、異世界帰還者たちの学園で無双する2 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で廃棄魔王であるフェリスを守る為の、落伍勇者である恭也の戦いは本格的に幕を開けた訳であるが、たった一つの大切なものを守る為に他の全てを犠牲にすると言う行為の本当の意味は何処にあるのか。その答えはもはや言うまでもないだろう。周り全てに心を許さず、必要であれば悪になって騙して切り捨てる。誰も信用してはいけない、周り全てが敵である、という事。そんな道を突き進むという事はどれだけ辛い事なのか。
「それを覚悟とは呼ばぬよ・・・・・・」
だがそれでも、彼はやる事を既に見定めている。決意したのならやるだけ。二人で生きていける世界を作る為に、取引を持ち掛けてきた葛葉を利用する形で動き出す。
まずは一足飛びでレベルを上げ、新たな班分けで彼女の元へと転がり込み。だがそれは小鞠とララを切り捨てる事に他ならぬ。だがそれでも。別れを告げ、葛葉の護衛役として学園の中枢部である執行部へと乗り込んだ彼は、まるでおままごとのような会議を目撃しつつも葛葉の剣として勤め。首尾よくローゼとも接触することに成功し、執行部として初めての仕事である女神にとっても未知の世界を滅ぼす呪法、「終焉呪法」の回収任務へと赴く。
だがそれは、彼にとって辛く苦いものとなる。終焉呪法を抱えている、どこかフェリスに似た少女、シセラは静かに死を受け入れ諦めた態度を取り。どんどんと関わるうちに感情移入すれど、最凶の力を持っていても彼女を救うことは出来なくて。ハッピーエンドを齎すことは出来ず。それの目撃者となった小鞠は、始原の勇者達に協力することを決める。
その裏、どんどんと事態は進行していく。恭也の足掻きの裏、仕込みをしていた葛葉は彼を連れて宝物殿の中へと侵入し、望んでいた者と出逢う。
そこにあったのはとある女神の真実。それを目撃し、女神と葛葉の絆を目撃し。恭也は一体何を選ぼうと言うのか。
「―――そういうわけなんで、すいません。今度は俺の番みたいです」
―――それはもはや語るまでもない。それが必要であると判断したのならば誰が相手でも倒すだけ。フェリスの意思を押し込め自分の望む未来を押し付ける為、どれだけ血塗られた道を歩むとしても。明確な最後の一線を越えてはならぬ、と命を顧みず止めようとしてくる葛葉と彼は激突する。たとえお世話になった相手だとしても、己の狂おしいまでの意志を貫くために。
明確に一線を越え、更に黒さが増す今巻。ここからが地獄の入り口ならばどこまでいくのか。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
最凶の魔王に鍛えられた勇者、異世界帰還者たちの学園で無双する 3 (HJ文庫 こ 06-01-03) | 紺野千昭, fame |本 | 通販 | Amazon