読書感想:ひきこもりの俺がかわいいギルドマスターに世話を焼かれまくったって別にいいだろう?

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 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様にお聞きしてみよう。皆様は働かれる上で大切な条件、と聞かれて一体どんな要素を思い浮かべられるであろうか。いいお給料だろうか、きちんと休みが取れる事だろうか。はたまた、一体どんな条件を思い浮かべられるであろうか。

 

 

その条件と言うのは、画面の前の読者の皆様それぞれ答えが違って当たり前の筈なので、敢えて明確な正解は求めない。しかし、その条件の一つとして「良い上司がいるか」、というのが挙げられるのではないだろうか。

 

 そういう条件を一番重要視する、のであればこの作品の主人公であるヴィル(表紙右下)にとっては正に天からの福音と言っても過言ではなかったのかもしれない。自分の事を端から貶し認めぬのではなく、きちんと見てくれて認めてくれる。そんな存在こそが、彼にとっては必要だったのである。

 

超絶的な剣技と魔法の才能を持ち、勇者の剣技も魔王の魔法も習得してしまい。そんな彼を社会は認めず、魔王の再来と呼び蔑視し冷遇し。そんな現実に心折れ通っていた学校を退学し、引きこもりライフを満喫するヴィル。

 

 事情を鑑みればある程度仕方のない事かもしれぬ。しかしのうのうと引きこもっている事を親に許されず追い出され。彼は街に存在するギルド、「グラン・バハムート」へと出向く事になる。

 

「我々はヴィル様のご登録を心より歓迎致します!」

 

そこで彼を待っていたのは美少女ギルドマスター、アーニャ(表紙中央)。弱小ギルドを必死に切り盛りする、大望を抱く少女である。

 

元々ヴィルの事を知っていたからこそ、無条件に慕ってくれて。時に甘やかしたりご飯を作ってくれたりとお世話してくれて。

 

 そんな彼女が困っているのならば、恩義があるのならばどうするか。無論、放っておくわけにはいかぬ。きっちりと働き、誰にも文句を言われず引きこもる為。ヴィルは錆びつかせていたその力を存分に解放し、あっという間に多大な戦果を挙げていく。

 

まずは簡単な仕事からこなし、アーニャのギルド友達、ソフィア(表紙左)の手も借り強大な魔物であるクラーケンを引きずり出し即死魔法で瞬殺し。

 

「さあ、見せてやるぜ、本物の魔王の極限魔法を」

 

そして、緊急クエストの標的として迫り来る強大無比なる古代魔獣を、魔王の極限魔法の一つで古の竜王を召喚し退け、勇者の剣技をアーニャに伝授し彼女を勝たせて見せる。

 

可愛い女の子に甘やかされ、何だかんだと全力を尽くす。作者様のフェティッシュがこれでもかと詰め込まれ、独特の甘さと賑やかさがあるのが今作品の見所である。

 

可愛い女の子が好きな読者様、何だかんだ頑張る主人公が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。