読書感想:今日も生きててえらい!3 ~甘々完璧美少女と過ごす3LDK同棲生活~

 

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読書感想:今日も生きててえらい!2 ~甘々完璧美少女と過ごす3LDK同棲生活~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、冬季と春幸の同棲甘々生活もついに三巻目。本当の恋人同士になり、立ち塞がってくる障害も乗り越え更に絆を深めた訳であるが、果たしてまだ何か障害が立ち塞がったりするのか、という事を思い浮かべられるかもしれない。では今巻では何を描き、乗り越えるのか。それは大切な一線。春幸が心の傷を乗り越えていくのである。

 

 

「いや、幸せだなぁと思って」

 

夏休み、学生たちにとっては解放の日々。冬季の提案によりプライベートジェットでハワイまで旅行に行くことになり。ふとした瞬間に幸せを感じながらも、過去の痛みのフラッシュバックと冬季を失う事への恐怖が、春幸の身体を縫い付ける。

 

だが最後の一線を無理に超える必要もなく、深まった甘々は変わらない。ハワイまで乗りつけ、父親の海外出張の際のお世話役であるハワードとも合流し。始まる三泊四日のハワイ旅行。プライベートビーチで水着を披露したり、サンオイル塗という定番のイベントが冬季の手により巻き起こされ、疾風怒濤の勢いで巻き起こるイベントに春幸は振り回されていく。

 

だが、海外という非日常の舞台に来てまで彼等の元には不穏がやってくる。ひょんな事から出会い、春幸の事を気に入った少女がいる。その名は夏海。冬季の家と対を為す名家の令嬢であり、冬季を一方的にライバル視してくる者。春幸の身柄を狙い、彼女は勝負を挑んできて。だがアホ故の詰めの甘さと、ぽんこつっぷりから勝負にならない。

 

冬季により明かされるのは、夏海の体質と言ってもいい壊滅的な不器用さ。何でも出来る冬季の逆、何でも平均点以下という事。その不器用さ故に家からも半ば見捨てられ、生まれたばかりの弟に既に家を継がせる事は決まっている。正に冬季の影のよう、それでも気丈に振る舞って見せているという事。

 

だが冬季はそろそろ彼女の限界が近いのではないかという事を感じ取り、彼女の願いを受け春幸は去っていった彼女を追いかけ慰める。

 

しかしそこで牙を剥く真の悪がいる。夏海の付き人であった月村が牙を剥き、夏海を始末し春幸に罪を押し付ける為に春幸を連れ去っていく。

 

「許すわけがないでしょう。私からハル君を奪おうとしたのに」

 

けれど画面の前の読者の皆様ももうお察しであろう。冬季がそれを許す訳もない事も。超科学力と財力を用い颯爽と駆け付け、あっという間に盤面はひっくり返り。往生際悪く逃亡する月村を追い詰め、何故彼がそんな目に遭っているのか、彼の憎しみの原因を明かし改心を促す中。自決しようとした彼を止める為、春幸が怪我をしてしまう。

 

「大丈夫。俺はいなくなったりしない」

 

生死の境をさまよう中、邂逅するのは家族の幻影。追おうとした彼を押しとどめるのは冬季の泣き声。残していく方になってはいけぬと現実世界に帰還した彼が見つけるのは、未来へ向けての新たな夢。

 

「私たちは、もう家族です。心配せずとも、あなたを置いていったりはしませんから」

 

そう、夢も出来た。受け止めてくれる家族も出来た。だからこそ傷は癒えていく、未来を見る事が出来ていく。新しい人生が始まっていくのである。

 

更なる甘さが一つの結実を迎える今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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