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読書感想:はたらけ!おじさんの森2 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、世界全体のアップデートも済んで島同士の同盟も成立するようになったわけであるが、それにより島同士が更につながる様になってきた、という訳である。では更に繋がりを広げていくとどうなるのか。それは更に多様性のある価値観との接触。つまりは進達の島の世界観、価値観とは違う島を相手にしなければいけない機会も増えてくる、という事なのだ。
「ああー。ずっとこんなに幸せな日々が続くといいですねー」
進達が温泉でふやけている間に、計画第二位の島、ぶどう島からの来訪者がやってくるも、ストライキを決められ邂逅は果たせず。書置きを残し帰っていく来訪者達。
「というか、ネコミ殿が策士なのですぞ」
出会わなかった事で、とりあえずは日常へと戻り。島に居つく事になったパンダがやることを決める事となり、ネコミの無意識の誘導によりパンダが教師の役をする事になったり。
「これがフラワー島の、やり方なのです」
本格的にフラワー島との同盟が締結される事になり、あにまる達と適度な距離を保って見守る、大人としての正しいあり方のもう一つを目撃したり。
島に発見された滝におじさん達のテンションが爆上がりしたり、滝を中心にキャンプしてみたり。普段とは違う日常を過ごす、あにまるとおじさん達。
だが、邂逅の時は避けられず。再び現れたぶどう島からの来訪者達。格闘家風のおじさん、翔とライオンのあにまるであるライオネス。かの島はほのぼのとした今までの世界とは違い、正に弱肉強食の血で血を洗う闘争の世界。人外魔境のようにおじさんもアニマルも関係なくバトルロイヤルを繰り広げ、最後に勝ち残ったライオネスがリーダーを務める異色の島だったのである。
彼等が求めるのはパンダの身柄。その理由とは、この世界の解放、わかものからの脱却。世界そのものをひっくり返す為に、パンダという種族の力を求めていたのだ。
無論それだけではなく、進達の力も欲しい。そしておじさん達は、ライオネス達によって齎された小麦粉により広がった料理のレシピを捨て去ることはどうしても出来ず。
「―――だから、負けられないんですよ」
けれど負けることは出来ない。進達の島の行動のかじ取りは子供達に任されている。ライオネスに負けては、どうなるかは自明の理。弱肉強食の掟に従い、一人ぶどう島に乗り込んだ進は意外なまでの武力で、ライオネスと決闘に挑み。
「なんで、この島がナンバーワンなのか、今分かったレオン」
そして進達の島を訪れてみれば、様々な常識を学び知識を付けた子供達にすら論破され。戦いを伴わぬ、あにまるだからこその対抗策を指摘され、更には接待まで受け。ライオネス達は学ぶ。導かれた者たちの新しい強さというものを。
更に世界が広がる中、世界の根底も明かされる今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。