読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件7

 

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読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件6 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、来年アニメ化も決まり、更には今年のこのライトノベルがすごいにも再びトップ10にランクインしてきそうな気がするこの作品。前巻で一応、周と真昼の抱える問題にも一定の決着がついた訳であり、ここから何を語っていくのか、というとであるが。皆様も何となくお察しではないだろうか。ここから先、甘くしていくにはどうすればよいのか、と言う事を。

 

 

そう、恋人が出来てその恋人に他の女子が近寄るのを見たのならどうなるのか。それ即ち嫉妬。お互いに周りに受け入れられるようになり、周りを見る余裕が出てきたからこそ。胸に去来する、そんな思いに触れていくのが今巻なのである。

 

「いや、何でもないよ。俺も幸せ者だと思っただけ」

 

新学期、ナチュラルに周のネクタイを真昼が結ぶと言う、どこぞの新婚夫婦ですか? と言わんばかりの二人だけの時間を過ごした後。2人を待っているのは、学園祭と言う一大イベント。その出し物を決めるクラスの会合において、流れと勢いで彼等のクラスはメイド、執事喫茶をやる事となったのである。

 

「彼女が見世物にされるのは面白くないし出来る事なら独占したいよ」

 

無論、それが面白い筈もない。当然である。いくらリターンが大きいとは分かっていても、そこにリスクが釣り合う訳じゃない。だけど、それに代わる画期的なアイデアがあるわけでも無い、真昼だけを特別扱いするわけにもいかぬ。割り切れぬももやもやを抱え、優太に指摘されるほどに不機嫌を隠さぬ周。

 

「私が周くんの最初のお客さんですからね」

 

対する魔昼も、執事服に着替えいつもよりも格好良さを増した周の姿に改めて惚れ直すと共に、周りの女子の目が気になっていく。周囲と打ち解ける事で、その良さが知られるようになってきた事で焦燥感が高まっていく。既に彼は、真昼に永年売約済みであるようなものなのに。

 

 わかっていても、止められない。それもまた青春。いとおかし、というもの。当たり前の感情であるのだから何も恥ずかしい訳はない。文化祭本番となり、ちょっとしたトラブルや周の両親訪問と言ったあれこれを乗り切りながら。一度しかない時間を共に過ごす事で、より二人の間の絆を高めていく。そんな彼等の姿は、周りの級友達から生暖かく見守られていく。まるで壁になって、見守られるように。

 

「私の周くん、ですもん」

 

嬉しいけれど、嫌である。お互いに抱えたその想いを伝え合い。また一つ、彼等の絆は深まるのである。

 

いつもとはちょっと違う感情をスパイスとして織り交ぜる事で、より甘さを高めていく今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。