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読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件9 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、イチャイチャし続けもう十巻、恋人同士ではない時よりも恋人同士である方がもうずいぶんと長くなった我らが主人公、周とヒロインである真昼であるが。真昼の育ての親のような存在である小雪に、結婚の挨拶的な挨拶をしたことでもうやってはいない事も無くなってきたような気がするし、もはや盤石、小動もしなさそうな関係に成長している訳であるが。 もはやこの作品のエンディングはどんなものになるんだ、と思われた方もおられるかもしれない。
それはまだ見えてこないが、少しずつ作中の時間は進んでいる訳で。受験の季節も迫っていると言う事は、きっとエンディングはそろそろ方向性が見えてくるかもしれない。と、その前に今巻ではそこへ至るまでの、段々短くなってくる一時。恋人同士になって初めてのクリスマス、そしてバレンタインを描いていく巻なのだ。
「というか、俺と真昼が付き合ってるのって周知の事実だろうに、言い寄るとかありえるの?」
樹と千歳からも真昼が誕生日を祝われて。何気ないいつも通りの日々の中で少しだけ見えるのは、言い寄られると言う事への不安。ほぼ死滅しつつあるが真昼への告白はまだあり、周は少数から本気の思いを向けられそうと言う危惧。心配はしていない、という真昼をキミだけしか見ていないからと周がきっちりと安心させ。巡ってくるのはクリスマス。千歳や樹たちと共にわいわい騒いだり、真昼と同衾したり。
「それとは別に、とても好みです。すごく可愛い」
そこで仕掛けるのはサプライズ。クリスマスを過ごした経験がないと言う真昼に、とびっきりのサプライズと愛情を。 聖夜にやってくるのは周という恋人サンタ。
「オレはオレで手札を増やすように、これから努力するつもりだよ」
大晦日、父親と喧嘩をした樹が偶々発見した修斗に連れられてやってきて。父親との確執に悩む彼の背中を修斗と一緒に押し、千歳とも向き合わせて。
「急に呼び止めてごめんね。ちょっと用事があって」
その先に訪れるのはバレンタイン、炸裂するのは真昼の心配事。周へと告げられるのは、かつてそこにあった恋心。彼の良い所を知る人は少ない、だけど知ったその少数は重めな思いを向ける筈だから、という危惧は現実になるも、周はきちんと断って。
「周くんは、周くんが自覚しているよりもずっと、優しい人だから」
真昼の心配、それは彼が優しすぎるから。だからこそ傷つけてしまったのでは、と気にしてしまうのではないかと。幻滅されたくないと心を揺らす彼女を安心させていく、真っ直ぐな言葉で。
より甘さ深煎り、そして少しずつ最後の一年に近づいていく今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
Amazon.co.jp: お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件10 (GA文庫) : 佐伯さん, はねこと: 本