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読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件5.5 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、この作品はどうやら来年、アニメ化するらしい。とても嬉しいお知らせである。いつかはアニメ化する、と何となく予感できるほどに人気に溢れたこの作品。甘々な二人はもう何も心配はないだろう。しかし、どうやら前巻でシリアスは全部おいてこれたかと思えば、実はそうでもなかったらしいという事が語られるのが今巻である。
五巻で真昼の支えを受け、過去の傷を齎した者達と向き合い。見事に乗り越える事に成功し、過去の傷のかさぶたの大半を振り切ることに成功した周。だがまだ夏休みは続いている。周の家で過ごす夏休みは未だ終わらないのである。
「じゃあ、家族として仲良くするのはどうだろうか」
ある時はおうちデートをしたり。またある時は、真昼がかいがいしく周の頭を拭いたり。甘やかな日々が続く中、あっという間に真昼は周の両親にも受け入れられ始め、彼女も家族の輪に加え新たな家族の輪が形成されていく。
「これで、良かったんだと思う」
微妙な関係であった級友とも、和解と決別を果たし。また一つ、過去を乗り越え強くなる。真昼の事を守る為、大切なものを選んでいく周。
「ちゃんと向き合わないといけないのですけどね」
彼のそんな姿を見つめ、己の家族との不和を思い心揺らす真昼。苦悩交じりの言葉に何も言えず、真昼と共に今の地元に戻り。千歳や樹といったいつもの仲間達と終わる夏休みを惜しみ、最後まで楽しむと言わんばかりに夏祭りに繰り出したり、皆で宿題に励む中。周と真昼を見つめる謎の影が一つ、現れる。
真昼ではなく周へと接触してきた、影の主の名は朝陽。今まで出てこなかった真昼の父親である。
「・・・・・・身勝手ですね」
「そうだ、身勝手だよ」
タイマンで向き合い、彼が告げたのは真昼への親としての思い。何故今更、何故もっと早く。そう吼えてやりたくともやりきれず、大人である彼の凪いだ湖面のような瞳からは真意を測ることは出来ず。
「ずっと側に居るから。不安になったら、いつでも寄りかかってくれ」
それができぬのは、周がまだ子供だからか、未熟だからか。けれどそれでも、確かなことは一つある。それは周が真昼を大切に想っていること、愛している事。家族になる、手放すつもりもない。愛情過多なその思いはなくならぬと確信している、だからこそ隣にいると心揺れる真昼の側に優しく寄り添う。
更に甘く、より濃く熟成されていく甘さが心に優しい今巻。シリーズ読者の皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件6 (GA文庫) | 佐伯さん, はねこと |本 | 通販 | Amazon