読書感想:クエスト:プレイヤーを大虐殺してください VRMMOの運営から俺が特別に依頼されたこと

 

 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。皆様はソードアートオンラインシリーズをご存じであればアインクラッドを創り出しプレイヤー達をゲーム内に閉じ込めた黒幕が何処にいたかはご存じであろう。という前置きはさておき、ゲームと言うのは運営側から参加するのが面白いのかプレイヤーとして参加するのが面白いのか。画面の前の読者の皆様はどちらの方がより面白いと思われるだろうか。

 

 

NPCが自分の意思を持ち、広大な世界と緻密な設定、そして自ら選ぶ職業とは別にランダムに付与され、他人には決してバレてはいけぬ二つ目の職業、「ネイチャー」がある「仮面システム」が話題を呼ぶ最新の大人気フルダイブ型VRMMO、「リーエン=オンライン」。かのゲームは今稼働開始を控え、とある青年もまた期待に胸を膨らませていた。

 

「大虐殺をしていただけませんか?」

 

 しかし、何故か青年は運営から本社へと呼び出され一つのお願い事をされる。それは主となる五色の属性のうち、闇を表す「黒」の盟主、つまりは運営側のプレイヤーになってほしいというもの。二つ目のネイチャーを持つが特にそれ以外の特典はなく、為してほしいのは世界の敵となる大虐殺(方法問わず)。青年はまるで導かれるかのように承諾し。異邦者である青年、シオンとしてゲームの世界へと降り立つ。

 

まずはチュートリアルをこなし、はじまりの街を訪れ。同期のプレイヤー、「炎狼」と友誼を結ぶ中、仮面を奪い取れると言うシステムを期せずして暴いてしまい。

 

まずは冒険者となり、最初の職業として「格闘家」を選び。シオンは時に気ままな旅人として、またある時は最初のネイチャー、「宿屋」のカラとして。まずはこの世界を味わい知見を深めるべく、冒険の道を進んでいく。

 

 だがその旅の中、期せずしてシオンはゲームに隠されていた隠し要素を解き明かし。謎の機械に追われていた妖精達を助けた事で気が付けば、最強クラスのアイテムを手に入れてしまい。面倒見の良いプレイヤー、杠(表紙右)や心優しきサモナー、九九(表紙左)といった仲間を増やしていき。最初のイベントである魔物達の大暴走、スタンピードが迫る中。自分に今できる方法で、しっかりと自分らしく関わっていく。

 

「・・・・・・もっと、強くならないと」

 

確かに迫る脅威は強大、だがこの世界の住人たちの防衛能力も高く、連携も統率も取れている。だからこそ、この程度の脅威ではいけない。「大虐殺」を引き起こすと言うのなら、この程度では足りぬ。もっともっと、大きなことをしなければならない。

 

そしていつかそれを為す時。シオンは大きな決断を迫られる事になるのだろう。盟主として、只のプレイヤーであればするはずもない決断を。

 

正に大きな物語の始まりといった感じの、王道の面白さのあるこの作品。VRMMOものな作品が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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