読書感想:保健室のオトナな先輩、俺の前ではすぐデレる2

 

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読書感想:保健室のオトナな先輩、俺の前ではすぐデレる - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で主人公である恭二とヒロインである柚月は仮ではあるが恋人関係になった訳であるが、それで何が変わるのか、というと劇的に何もかもが変わるわけではない。何故ならば二人の関係の根底にあるのは自爆と言うドジであり、二人ともに恋愛に関しては不器用であると言って差し支えないからである。だがそれはお互いに成長の余地があると言う事であり。一気に深めていくのではなくじっくりと深めていく恋がこの二人には似合うという事である。

 

 

「ふふふ。初心なんですね、真山くんは」

 

「他の人にはこんなことしないんですから!」

 

恋人同士(仮)とはなれど、普段においてはいつも通り。保健委員と保健室の常連である関係性のまま、額をくっつける事で熱を測ろうとして、あるいは暑いという名目で薄着になろうとしたり。相変わらず柚月が自爆を繰り広げる中、恭二の担任の何気ない一言にかちんときた柚月は恭二に近く来る中間テストで学年一位を取ってやろうと提案し。それを叶える為、彼女が付きっ切りで勉強を見てあげる事となる。

 

 だがしかし、仮とは言え恋人同士と言うフレッシュな関係性が二人の間にさざ波を起こさぬ訳もなく。相も変わらず、柚月が自爆を繰り広げるのである。

 

恭二が病欠で行えなかった身体測定をする事になり、彼の裸を期せずして目撃しぶっ倒れたり。彼女の家に招かれたら何故かお掃除ロボに柚月が付け狙われたり。相も変わらず自爆する中、柚月は根気よく恭二に勉強を教えていく。

 

 そんな二人の関係を、恭二の妹である陽菜が目撃したり、恭二の母親が目撃したり。恭二側の保護者にも柚月の存在がバレ始める中、ひょんな事から彼は柚月が抱えているもの、彼女が抱えている余計なものの一端を知る。

 

それは彼女が抱えなくてもいいもの、だが彼女がオトナの意地で抱え込んでいたもの。今、それを見て自分はどうすればいいのか。自分には何ができるのか。

 

「俺が、やりたいから引き受けた」

 

 それを考えた時、恭二は自然と一歩を踏み出していた。柚月の言いつけにも逆らう形で、更にはちょっと疎遠だった母親とも向き合う事もして。 それは柚月が側に居るからこその変化。何も出来ない自分から抜け出し、何でもできるオトナへと。なってみようと思うのは、彼女がいたから。

 

「先輩に、プレゼントしたくて」

 

あの日贈れなかった贈り物を貴方へ。もう逃げるのは止める、格好いいと自分でも思える大人になる為に。その変化はきっと、何よりも尊い物なのだ。

 

更にもどかしく甘く、より濃くなっていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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