読書感想:死亡遊戯で飯を食う。3

 

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読書感想:死亡遊戯で飯を食う。2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 運営の思惑は見えず、その正体も見えず。しかし今日も幽鬼は死亡遊戯で飯を食う。今巻もそれは変わらない訳であるが、前巻で「三十の壁」を超えた事で、不運続きを乗り越えた訳である訳で。ここからはさくさくいくのか、と言われれば実はそうではない。「三十の壁」を超え本当の意味でベテランとなったとて。より遊戯は厳しさを増していくのである。

 

 

かの大虐殺が起きた「キャンドルウッズ」から暫し経ち、この業界もプレイヤーが増える事で復興を始め。それを表すかのように、幽鬼も遊戯の場で、「三十の壁」を超えたプレイヤーと出会う事が多くなるも、特に何も起きる事もなくあっさりと四十回目の遊戯も攻略する。普通であればそれは喜ばしい事かもしれない、しかし彼女にはどうもそれが気にかかる。義肢職人の元に訪れた際に再会した藍里もまた、どこか嫌な予感を感じていた。増えたのならばまた減るのではないか、また虐殺が起きるのではないかと。

 

 予感を感じれど、その心は晴れず。だが、遊戯に参加する以上、遊戯はいつでも牙を剥く。四十四回目のゲーム、「クラウディビーチ」。孤島の砂浜、そこに建てられた八つのコテージに集められた計八人のプレイヤー達。そこに集められたプレイヤーは、幽鬼も含めベテランが多く揃っていた。

 

キャンドルウッズを予感で避けたニ十回目のプレイヤー、古詠。五十回目のプレイヤー、永世。四十三回目のプレイヤー、真熊。そして三十の壁を超えた藍里、今回が三十回目である蜜羽。十回目である海雲と会話が成立しない日澄を除きほぼ全員がベテランという状況で、クリア条件が不明、というゲームが幕を開ける。

 

しかしそのゲームはすぐに、不穏の予感を芽吹かせる。二日目、いきなり永世がキャンドルウッズの殺人鬼を思わせる手法で殺害され。お互い疑心暗鬼に駆られる中、一日ごとに一人、プレイヤーが殺されていく。

 

犯人は内部にいるのか、外部にいるのか。それすらも分からない。お互いに警戒し合い、それぞれの道を歩きながら。今回のプレイヤーの身体に仕込まれたとあるもの、も含め謎が廻りだす。

 

「生きてるよ、あいつは」

 

その中で古詠から知らされるのは、師匠である白士が生きていると言う話。その生存の秘密に迫る時、今回の事件の犯人が明らかとなる。

 

犯人との最後の決戦、勝敗を分けるのは根本的な勘違い。ある人の思いを勘違いしたか、していないか。それだけ。

 

「もう、今回でやめにするよ」

 

その先に、一人のプレイヤーが舞台を降り。「クラウディビーチ」の裏で起きていた新たな惨劇が明らかとなるのである。

 

少しずつ何かが動き出していく気がする今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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