読書感想:VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた4

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、Vの者やyoutuberの方々等、配信や動画投稿と言う行為で生計を立てておられる方々にとって最もつらい事とは何といっても、収益停止という事であろう。何をしてもお金にならず、あっという間に無収入の無職になってしまう、実際になってしまうと寿命が十年くらいは縮むかもしれぬ最悪の事態。前巻の最後、二期生の一人である聖様がそんな事態へと陥ってしまった事から今巻は幕を開けていくのである。

 

 

しかし、どう足掻いても何ともしようがなく、できる事と言えば気に掛ける事くらいの身。そんな訳で、淡雪は今日もまた配信に励むのである。

 

「おっと失敬、土地を開発するはずが耳を開発するところだったぜ」

 

ワールドクラフト、通称「ワルクラ」というゲームの中で初めて自分で企画を立てて、来てくれたコラボ相手達と丁々発止の漫才を繰り広げたり。

 

「帰っていいですか?」

 

ひょんな事から有素のお家に遊びに行くことになり、曲者過ぎる有素やその両親に振り回されながらも、大切にされていると言う家族の絆を目撃したり。

 

マタタビでもキメましたか?」

 

先輩であるネコマとコラボする事になり、彼女自作のクソゲーにきりきり舞いさせられて疲弊したり。

 

「「デレシシシシシシシシ!!」」

 

更には先輩である晴に薫陶を受け、モンスターを狩るゲームの世界に飛び込んでみたり。

 

「今回の主役はネコマや淡雪ちゃんたちじゃないってことだよ」

 

そんな賑やかな日々の中、心配を続ける淡雪にネコマは謎に説得力のある言葉を投げかける。今回の件、主役となるべきは自分達ではないと。そう、確かに淡雪のような後輩では届かないであろう。ではネコマなら届くのか、と言うとそうではないのかもしれない。

 

 そう、やはり主役は聖様である。ならばその心に唯一届くのは、ライバーの中だと誰なのか。それはシオンの役目。一番側で駆けてきたからこそ、彼女の役目なのである。

 

呆気なく戻った収益、そこで明かされた聖様の言い分、それに納得できるシオンではなく、反発し飛び出してしまい。慌てて追いかけた先、二人きりで向かい合って。

 

「ああ付き合ってやるさ‼ 両想いなら付き合うに決まっているだろう‼」

 

 ぶつかり合って思い出す、変態の動物園が如き環境の中で忘れていた己の思いの異質さを。改めて伝え合って見出す、それでも目の前の人は受け止めてくれると言う事を。間違いなく「始音」、はじまりのおと、と言わんばかりに。思いを伝え合い、二人の新たな関係が幕を開けるのである。

 

何を言っているのか分からぬ、そう思われた読者の皆様も安心してほしい。私もあまりの勢いに混乱したくらいである。しかし、百合という感情をこの作品で前面に押し出すとそうなるのである。

 

さて、この騒動の先、淡雪たち三期生デビュー一周年に待っているのはどんなドタバタなのか。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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