読書感想:聖剣学院の魔剣使い9

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前巻感想はこちら↓

読書感想:聖剣学院の魔剣使い8 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の最終盤で、「常闇の女王」であるラクシャーサが解放された段階で、我らが魔王、レオニスが帰還したわけであるが、画面の前の読者の皆様も何となくお察しではないだろうか。膠着状態の中に、どちらかに最強戦力を投入したのならば戦局はどうなるのか、という事を。つまりはそういう事である。なので今巻の主軸は「大狂騒」などでは決してない。寧ろその後が本番と言えるのである。

 

 

「これが、本物の魔王の魔術だ。冥府への土産にするがいい」

 

帰還早々、本文中で言うのならば僅か三ページの間に「闇の巫女」、イリスはレオニスに正体を認識される事もなく消滅させられ。更にはレオニスに愛憎渦巻く想いから挑みかかったラクシャーサも、時間切れにより再び封印され。

 

 何とか全員で帰還したその後、しかし新たな不穏の影はすぐそばまで迫っている。ブラッカスが気付いた、何者かの影による「影の回廊」の侵食による切断。その調査のために配下の魔物を連れ出立したブラッカスを見送るレオニスの元へ、帝弟アレクシオスからの交渉を求めるメッセージが届けられる。

 

 

「魔王計画」なる、この世界を守る為に魔王に協力を仰ぐと言う計画。その計画に基づき交渉を申し込んできたアレクシオスを自らの居城へと招き、レオニスは一先ずの対価として情報を、それも一般には知られていない情報を求める。

 

 その求めに応じ開示された真実の一端。レオニスが封印された後の時代、七百年ほど前に破滅的な災厄が起きていたという事。五百年ほど前に、文明と都市国家が再興されたという事。そして二百年ほど前に、「聖剣」と呼ばれる力の先駆けが齎されていたという事。そして、ヴォイドの襲来は既に予見され、その為に「聖剣士」達は血統を重ね生み出されていたという事。

 

垣間見たヴォイド達の世界、そして今知る、誰も知らぬ情報。しかしその情報を精査し考察する余裕もなく、新たな敵が襲来する。

 

その名は「影の女王」、シェーラザット。かつてブラッカスの反乱により滅ぼされた「影の王国」の女王であり、レオニスにとっても因縁深きその敵が蘇り、影の魔物達を操り迫りくる。

 

しかも、敵はそれだけに非ず。追い込んだ先にシェーラザットの手により復活する「精霊王」、エルミスティーガ。レオニスが認めた数少ない強敵が、ヴォイドとなりて復活し、世界を呪おうと動き出す。

 

更なる戦いの中、世界の謎がこれまでよりも大きく公開される今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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