前巻感想はこちら↓
読書感想:聖剣学院の魔剣使い7 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻の感想で私はここから一つの山場が始まる、と書いたことを覚えているが、果たして本当にここから山場は始まるのか。そう聞かれたのならば、こう答えるしかない。確かに、一気に不穏の芽が萌芽を迎えるのが今巻である、と。
前巻の最後、レオニス達の前に現れたリーセリアの父であり、死した筈の人類の英雄、エドワルド。彼であり自分、自分であり彼。そんな言と、女神ロゼリアの事を我が女神、と呼んだ事からレオニスが思い至ったその正体。それは「魔王」の一体であり、最も謎の多い、他人を器として憑依する者。「アズラ=イル」。かの魔王は「天空城」を本格的に起動させ、天空城はヴェイラも知らなかった転移機能を発動させる。
なすすべもなくその転移に巻き込まれ、レオニスとヴェイラ、そして洗脳が解けたリヴァイズが転移したのは謎の世界。地上を禍々しき瘴気が覆い、巨大なヴォイド達が闊歩する謎の世界である。
とりあえずは探索を、と魔王三人で探索する中、唐突に聞こえてきた女神の声。その声を追い辿り着いたのは、死した魔王、「獣王」のかつての城。
一体なぜ、こちらの世界にこんなものが? 何故この城に「女神」の祭壇が? 謎がさらに膨らむ中、女神の声はノイズに塗れ、更に再び襲来したかつての師、シャダルクは戦いの果てにレオニスに告げる。お前が継承者なのか、と。
一体全体どういう事か。この世界は何なのか。だが、謎は一切明かされず、暗躍する敵の幹部。「闇の巫女」、イリスの手により最悪の事態は巻き起こる。
レオニスに化けたシャーリの指導の元、特訓に励むリーセリア。それぞれの思惑の元、それぞれに動く仲間達。
だが、「聖剣剣舞祭」の舞台はヴォイド達の「大狂騒」により混乱と惨劇の現場へと変わる。突如襲来する無数のヴォイド達、更には天の亀裂から現れる超巨大な「統率体」達。対するこちらは、レオニスを欠く状況。その状況に、レオニスは遂に決断を下す。封印されていた第三の眷属、魔王にも劣らぬ強さを持ちながらも制御不能の決戦兵器を投入する事を。
「―――あれは、少しは楽しめそうね」
シャーリの身体を器に解放された「常闇の女王」、その名をラクシャーサ。冥府の魔神は目覚め、統率体へと敵意を向け。
「―――お待たせしました、セリアさん」
そして、遂にレオニスが戦場へと参戦する。二つの世界が重なろうとするこの戦いの場で、魔王が遂に戻ってくるのだ。
更なる謎が混迷を呼ぶ中、大乱が始まる今巻。
シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。