読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す5 ~ヘンダーソン氏の福音を~

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 さて、この作品をここまで読んでこられた読者様は、こうは思われたことは無いだろうか。エーリヒの師匠であるアグリッピナ、彼女の真の強さとは果たして如何程なのだろうかと。エーリヒやエリザに魔法を教える師匠である彼女は、本気を出したらどれだけ強いのであろうかと。

 

 

そう思われた事のある読者の皆様、どうか安心していただきたい。今巻でその答えの一端を垣間見ることができるので。

 

春も終わりを告げ夏が来る頃。エーリヒ達の生活する帝都の喧騒も嘘のように静まり返る中、今の皇帝の任期内での退位という号外が帝都を駆け巡っていた。

 

「では、これを見て、喜んでくれるものと確信していますよ、我が弟子」

 

 しかし、そんな大きなニュースをかき消すかのような大事態がアグリッピナへと降りかかっていた。教授位への昇進と同時、魔導院との仲立ちとするために彼女が叙勲される事になり。しかも与えられた領地は、帝国の中でも重要な交易路が二つとも通っている、帝国有数の良い領地だったのである。

 

当然、教授の仕事もしなければいけないし、更には貴族の仕事だってしなければいけなくなる。背負い込みたくもないのに、背負わなければいけぬものが増えていく。

 

そしてそれは、無論エーリヒも同じである。師匠であり主であるアグリッピナが、望まぬけれど貴族の世界に飛び込まなければいけぬのならば。従者であり弟子でもある彼もまた、飛び込まねばならないのである。

 

当然、急に貴族の世界に現れたアグリッピナに注目が集まっていく。その力を利用しようと、食い物にしようと貴族たちが迫りくる。

 

親し気に油断させぬようにと近づいてくるのはドナースマルク伯とその腰巾着の一味。彼等とまるで探り合うように、騙し合うように。政争の世界へと飛び込んでいくアグリッピナ。

 

そしてその従者であり、懐刀であるエーリヒもまた、新たな戦いの場へと飛び込んでいく。彼女を狙う貴族からの刺客を、その手で捌き身に着けた新たな力で、正体を隠しながら迎撃していく。

 

だが、まだ彼は知らぬ。アグリッピナが次元を超えた力を身に着けている事も。その力を発揮したとき、まるで大怪獣バトルの如き戦いが巻き起こると言う事を。

 

「あそこまで完膚なきまでに負かされたのは初めてです。それこそ、加減さえされたように」

 

そして、刺客の一人であったドナースマルク伯の落胤、ナケイシャ(表紙)に様々な意味で目を付けられた事を。師匠とはまた別に、彼もまた新たな因縁に絡めとられてしまった事を。

 

卒業の時が匂わされ始める中、新たな戦いが更に面白さを増していく今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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