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読書感想:魔王使いの最強支配2 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で新たな魔王、アンゼリカのテイムに成功し新たな民を得て偉業を為すルイン、その裏で何事かの思惑を秘め妖しく笑う現魔王、という終わりになっていたと思うが、実際の所、現魔王は現状、徐々にルインに目を付け始めている。徐々に彼が脅威になりつつあるからこそ、彼の先手を取って動き出す。本格的に現魔王が動き出していくのが今巻なのである。
新たにテイムしたアンゼリカ、その力の一端である新たな魔装、「海竜の咆哮」。威力の調節ができる、言うなれば腕に装着する砲筒のような魔装の威力に四苦八苦しながらも、情報を集めながら依頼に励むルイン達。そんな彼等の元に別行動をとっているセレネから精霊術を通して緊急の連絡が舞い込む。
それは「剣永の魔王」、ロディーヌ(表紙中央)が復活し、フォンアークという国の首都、グランディスが乗っ取られてしまったという事。放置しておけばマズい事になる、早速旅人夫婦として潜入するルイン達が見たもの。それは人と魔族が共に暮らしていると言う、衝撃的で理想的な光景であったのだ。
それは彼らが目指す理想の形。だが、何処か違和感が付きまとう。漏れ聞こえる「上級」と「下級」という不穏な単語が何処かきな臭さを感じさせていく。
そう、それは間違ってはいない。ロディーヌの配下となっていたクレスとの再会、そして「剣聖」であり「勇者」でもある少女、エリカとの出会い。その二つの出会いからルイン達は真実を知る。
この街は理想郷ではない、寧ろ閉じた絶望郷。 強き者を好むロディーヌに己の実力の証明をし認められる事で取り立てられた者達と、選ばれなかった者達に大別される世界だったのだ。
当然、それを許すわけにはいかない。囚われたエリカの仲間達を救うため、クレスを下し実力を証明し。何とか面会まで辿り着けど、強さを基準に最も尊ぶ彼女との激突は避けられず。ロディーヌの配下となっていた仲間とエリカが戦うすぐ隣、ルイン達はロディーヌとその配下との決戦に挑む。
「さぁ。心震える死合を始めるとしよう!」
攻撃から防御まで多種多様な能力を持つ魔剣を幾多も操る、正しく万軍を相手にするような万能の力。それに立ち向かうのは、仲間と築いた一人ではない力。孤独では作れぬ絆の力。
「面白い・・・・・・実に面白い男だ」
が、しかし。戦いの先、和解が為ったかと思えば襲来するのは現魔王、セオドラ。その配下の手により弱体化させられそれでも意地と気合で一矢報い。その様にセオドラはどこか歓喜の様相を見せ、勝利を宣言し消えていく。
強者である彼女は望む、より強き人間との戦いを。その求める水準の入り口にルインはまだ立ったばかり。だからこそ、もっと強くならねばいけない。
ラスボスとの邂逅の先、新たな目的を見出す今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。