さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は年の差恋愛とは何歳差まで成立するものであると思われるだろうか。愛があれば、例えば祖父と孫娘くらいの年の差でも恋愛感情とは成立するものであるだろうか。その答えは各自で考えていただくとして、最近年の差恋愛というものはラブコメの隆盛に乗じて徐々に増え始めている分野、そう私は思う次第である。
ではこの作品はどんな作品であるのか。この作品もまた年の差ラブコメであり、女子高生と二十四歳社会人のラブコメを描いた作品である。
真面目一徹、堅物サラリーマン蓮太郎(表紙右)。彼が住まうアパートの隣に引っ越してきた女子高生、七葉(表紙左)。
普通に考えれば、ただのお隣さんで終わるかもしれない、寧ろ終わるのが現実では普通なこの関係。しかし、この作品はそれでは終わらない。それは何故か。それがこの作品が二人が中心となって繰り広げられるラブコメだからである。
晩御飯のおすそ分けから始まって、まずは世間話をするような関係性となり。
気が付けば、七葉は蓮太郎の家に気が付いた時には入り込んで入り浸り、それどころか晩御飯をご相伴に預かり、更にはテレビのチャンネルを勝手に変えるような気安さを放ち。
それどころか、偶々やっていたメロドラマになぞらえ蓮太郎を誘惑して揶揄ってみたり。
大人を大人と思っていないような、まるで往年の友に接するかのようなウザい絡みをしてくる七葉。だがしかし、彼女の内心にあるのは好きという感情。大人である彼へと抱く、本気の恋なのである。
年頃の女の子らしくしょっちゅうスマホを触らないのは、彼といるほうが楽しいから。
自分がいるのに平気で風呂に入ってしまう彼に少しだけ不満を覚えたり。
自分から行動しないと気付いてもらえない、そう分かっているけど。どうしても行動できなくて。
まるで報われていないように見える彼女の恋。しかし、蓮太郎もまた彼女を大切に思っているのも確かなのだ。
(普通にどう考えても恐らく不法侵入であるだろうけど)七葉が自分が家にいない間にいても不機嫌になれど追い払わなかったり。
いつも彼が買ってくる食材は二人分。それは彼女が来ることが前提になっているから。
「私、早くそっちに行きたいよ」
そしてあらぬ疑いをかけられ離ればなれとなり。心細そうに放たれた七葉の気持ちに応えるかのように、大人としての頼もしさを発揮し全てを覆す。
ちょっとウザいけれど可愛い彼女と何でもない日々を積み重ね、いつしかその日々が当たり前となっていく。
恋敵である蓮太郎の後輩、菜摘とぶつかり合ったり。蓮太郎の同僚である純、幼馴染である葵に温かく見守られたり。
日々の積み重ねが愛おしく、まるで胸をくすぐるかのようにこそばゆく。
そんな穏やかでほのぼの、時々甘々なラブコメとして一つの完成形とも言える作品がこの作品である。
日常ラブコメが好きな読者様、ウザ可愛いヒロインが好きな読者様にはお勧めしたい。
きっと満足できるはずである。