前巻感想はこちら↓
https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/04/18/235914
さて、画面の前の読者の皆様。今巻のメインのお話は何だと思われるだろうか、その答えは聞かなくても明白かもしれない。何故なら表紙がその答えをもう示しているから。そう、表紙の佐藤さんが表す通り今巻は夏祭り。様々なイベントが起こりがちな主に夏の終わりに行われる、あの夏祭りである。
夏のある日、佐藤さんは恋人である押尾君に八月二十九日に行われる夏祭りへと誘われる事よりこの巻は幕を開ける。
しかし、佐藤さんは非常に困ってしまう。それは何故か。何故ならバイトをしている押尾君を見ていたいがためにcafe tutujiへと通い詰めたが故に大変に金欠な状況へと追い込まれてしまっていたことに今更ながら気付いたからである。
しかも二十九日はあろうことか押尾君の誕生日。焦った佐藤さんはバイトに励む事を決意する。
そして、二週間の間の短い期間で様々なバイトを経験する中。佐藤さんは様々な人に出会い、色々な経験をしていくのだ。
一件目のバイト先、cafe「潮」においてその塩対応な顔が事態解決の鍵となり、店主である厳格そうなお爺さん、源さんの意外な素顔を垣間見てしまったり。
だが、そんな彼女の心はふとした切っ掛けによりヤキモチと疑念に駆られる事になってしまう。それは何故か? その理由とは二件目のバイト先、スーパーの屋上のお化け屋敷に押尾君が自らの従姉妹である凛香と手を繋いで現れたから。
何故自分という恋人がいるのに。何故自分は未だ手を繋いだ事もないというのに。
「・・・・・・私は手、繋いでもらってないもん」
三件目のバイト先、cafe tutujiで溢れたのは押尾君へのちょっとした不満とやきもちで。
ならばやきもちを焼いてしまった彼女の機嫌を直すのは彼氏である押尾君の役目。それが出来るのは彼だけ。
その任務を見事に成し遂げ、来るべき夏祭りでは自然と手を繋げて、今まで関わってきた人達からの歓迎を受けて。
「―――来年もまた、この腕時計をつけてここにこようよ」
お互いに送ったお揃いのプレゼント、どちらからともなく言い出したのは来年を疑っていない恋人同士の甘い睦言。
夏の終わりにちょっとした喧嘩とやきもちを経て、また一歩恋人同士としてレベルアップし、また一つ絆を強くする。
前巻にも増して甘さが上がり、試練があるからこそ後の甘さが際立つ今巻。
前巻まで楽しまれた読者の皆様、ラブコメ好きな読者の皆様は是非。
貴方もきっと満足できるはずである。