男女比が逆転したという世界、昨今の流行でいうのならば恐らく某終末のハーレムの世界。ではそんな世界に転生するとしたら、画面の前の読者の皆様はどうされるだろうか。
主人公、琥珀(表紙右端)。彼は高校入学を控えた中学三年生の少年である。同時に彼は、現代日本で過労死した社畜だったという前世の記憶を取り戻した少年である。
そしてこの世界は、男女比が男と女で1対20と逆転した、男性が支援され優遇される世界である。
そんな世界でこの世界の一般的な男子な生き方をしていた琥珀は、前世の記憶を取り戻し、今までの生き方はできないなと反省し、目指すことにしたのは魔性の男。
が、しかし。この世界においては琥珀の考え方こそが異端であり、前世の記憶に基づいた行動をとっているだけで既に一般男子の範疇を飛び越え周りを魅了する行いだったのである。
そもそもこの世界の男子は自分が男であるという事を鼻にかけ、女性に挨拶もしなければ見下すのが当たり前という現世から考えるとナルシスト極まる、読者の目から見るとヤバい面々ばかりであった。
そんな中に突然只一人、ルックスも最上級な上に礼儀正しく優しい少年が現れたらどうなるのか。それはもう、注目されるし魅了してしまう訳である。
そんな彼は、高校入学までに柚香(表紙左端)、詩乃(表紙中央)というこの世界における大貴族的な家の跡取り二人と縁を繋ぐことに成功する。
では成功した彼はどうしたか? 手に入れたものをそのままにするのではなく、友達として彼女達と触れ合い、彼女達の抱える問題へと踏み込んでいったのである。
「これが本当に持っている男というものだ」
そう、この作品は様々なものを持ち合わせた上に更に前世の記憶から唯一無二の個性を得てしまった少年が無双していく様子を喜劇として描いた作品であり、ラブよりもコメディの強い、シンプルでわかりやすく、故にストレスの少ない、とても口当たりが軽くて読み易い作品なのである。
あっさりと軽めの作品を読みたい読者様は是非。きっと満足できるはずである。