突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方はポーカーをされた事はあるであろうか。または何かしらカードゲームを嗜まれたことはあるだろうか。
蒼山サグ先生と言えば? そう聞かれたら画面の前の読者の貴方はどの作品を思い浮かべられるだろうか。そう、蒼山先生と言えば小学生である。そしてこの作品は、かの伝説の二作品に間違いなく続く作品である。
しかし、この作品にはかの二作品と明確に違う点が確実にある。それは、かの二作品は重要な背景の支柱に重さはなかったが、この作品には確かな重さが存在しているのである。
この作品の日本においては、カジノの日本への進出が進んでおり、外資系の手によるカジノでの戦争が始まっている。しかし、日本と言う国はカジノの後進国であり、正にカモといった様相で食い尽くされようとしている。その状況を何とかする為に、初等教育からカジノ教育が取り入れられたのがこの作品の日本である。
ここまで聞いた読者様は分かっていただけるだろうか。この作品の日本は正にカジノ戦国時代であり、小学生達を駒として企業が代理戦争を繰り広げるという一皮めくれば正に魔境と化している世界なのである。
そんな魔境な世界の中、教員として、ポーカークラブの顧問として雇われ教育に励むのがこの作品の主人公である和羅である。
この主人公、蒼山先生の今までの作品と違い若干年齢が高めである。しかし難病の妹を抱え、その治療の為に為さなければならぬ事を為す為に戦いに挑んでいるというこれまでの主人公達と同じ中々に重いバックホーンを抱えているのだ。
その彼が率いるポーカークラブに集ったのは小学校五年生の三人の少女。
デザート争奪戦常勝、お調子者な留子。
カードを握ると修羅と化す、和羅の許嫁のお嬢様、朱梨。
そして、カードの絵柄が可愛いからという理由で入部してきた未完の大器な初心者、巴(表紙)。
そんな彼女達が挑むのは、ノーリミット・テキサスホールデムというポピュラーからは一歩外れた、場にある手札と二枚の手札で勝負する特殊なルールのポーカー。
そう、この作品は大人の思惑を知らず、だけど一人の勝負師として盤面に取り組む少女達が手札と想いを叩きつけ、真正面からぶつかり合う子供特有の熱さ溢れる作品なのである。
「よかった、やっぱりストレートなんだね」
ただの初心者だった女の子が開花し、一人の勝負師となり誰も予想せぬ方向からの一撃を叩きつけて見せる、この瞬間の熱さの何たることか。
どうか画面の前の読者の皆様も是非、この勝負の世界に飛び込んでみてほしい。きっと見たことのない熱さが見える筈である。