読書感想:幾千の剣を操る俺が世界最強1 伝説の剣に気に入られた奴隷、剣術至上主義社会で無双する

 

 さてさて、時に画面の前の読者の皆様は、別レーベルになるがMF文庫Jの昔の作品に、武器として扱う剣の形状を戦闘中に瞬時に変え戦う主人公がいたのをご存じだろうか。例えば長剣で切り結んだ後、短剣にし懐に潜り込み必殺の一撃をぶちかます、というように。今にして思うと、現実でやるのは中々難しいと言えるのではないか。

 

 

それもまぁ当然かもしれぬ。長さも重さも違う剣、つまり体の使い方も全然違う。剣を切り替えるだけではなく体の使い方も瞬時に切り替える。それは簡単には出来ない事だろう。という訳でこの作品においては剣を切り替える、のではなく様々なスキルを使い分け成り上がる少年、レオン(表紙右下)のお話なのだ。

 

人が魔力を使い、剣に宿る「ソードスキル」を引き出し戦う世界。剣に宿るソードスキルだけが人の勝ちを決める差別社会。かつて幼き頃、盗賊から幼馴染のアリサ(表紙左上)と一緒に、エリート騎士の集団、聖刃剣団の団員に救われた事で騎士に憧れた。しかし今、無事に騎士となったアリサとは違い、レオンはこの世界における冒険者的な位置の剣士、のパーティーに使われる奴隷となっていた。その理由とは、魔力がなくソードスキルが使えぬから。

 

「・・・・・・呼んでいるのか?」

 

「これからわしたちは相棒じゃからな」

 

そんなある日、ダンジョン探索中にドラゴン系の魔物、ドラゴリッチが出現、主であった剣士のパーティーに置いていかれ。あわや終わりか、と思った時にたどり着いたのは白い空間。そこにあったのは「天地開闢の剣」、全てのソードスキルの源流となった、剣聖でも抜けなかった剣。その正体は二百年前、時代から消された最強の剣士、クレア(表紙中央)の魂が剣になったもの。 曰く、そもそも魔力を持っていると抜けず、あと彼女の眼から見て現代の人間はソードスキルに頼りすぎていると呆れており。ひたむきに努力していたレオンを主と認め、彼は「夢幻零」というスキルソードを手にする。

 

その剣は文字通り、始まりの剣。一つ、ではなく無数のスキルを宿す剣。だがそんなものには頼らない。まずは身体強化から始め、これまで通り腕を磨いていく。そして、夢幻零を手に入れた事で騎士となる条件を満たし、まずは最低ランクの騎士からスタート。彼に興味を抱いた、剣術の名家のお嬢様、カナ(表紙右上)とも仲良くなり、アリサとも再会を果たして。

 

だが、元奴隷という彼の肩書は周囲から睨まれ、狙われるものとなっていく。「天地開闢の剣」を狙うのは、聖刃剣団の団長、ノア。更に最近巷を騒がせる謎の下手人、「刀剣狩り」も彼に注目していく。

 

「これで―――終わりです」

 

(お前はやはり、世界最強の騎士になる)

 

だが、レオンの歩みは止まらない。ひたむきに歩いていく、スキルに驕ることはなく。ノアとの決闘に挑み実力を見せつけ、刀剣狩りとも激突し。何者かの思惑が動き出す中、まっすぐに進んでいくのだ。

 

気風の良い主人公の活躍を素直に応援したくなるかもしれないこの作品。王道なファンタジーを見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

幾千の剣を操る俺が世界最強1 (HJ文庫 み 05-02-01) | 御子柴奈々 |本 | 通販 | Amazon