読書感想:転生程度で胸の穴は埋まらない3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:転生程度で胸の穴は埋まらない2 - 読樹庵

 

 さて、前巻でメルミナという相棒を得て、愛する者であるテルネリカとの仲も順調な「アデプト」であるコノエであるが。二巻までで為した成果というのは、考えてみるとすごい物ではないのだろうか。災厄を二度も討伐しているし。今巻ではそんな成果から一つの動きにつながる巻であり。話にはちらちらと登場していた同期のアデプト、フォニア(表紙左)が本格的に絡んでくる巻なのだ。

 

 

 

「これは、移籍交渉」

 

開拓村での騒動から五日、災厄に二度も襲われた事への疑念も抱きつつ、いつもの日常。教官から学舎に呼び出され、エリクサーの原料となる特別な石の産出地を調べているメルミナを手伝ったりしつつ。そこへやってきたのはフォニア。自身が姫巫女である天空の国、アーキノルカにコノエを誘おうとするもの。ハーレム要員の顔写真を何枚も出されるも、一先ずは結論は先送り。そんな中、呼び出してきた本人である教官と再会しいわれたのは、アデプトを取り巻く事情。どの国もアデプトは欲しいものであり、特に千年前の魔王を封印する役目を担うアーキノルカは、アデプトを欲しがっていて。原始魔法を発現させ、災厄を二体も討伐したコノエはとても求められる存在であるという事。

 

一先ず教官や神様から引き留められる中、アーキノルカから持ち込まれたのは魔王の調査依頼。千年続けられるその依頼は、新人アデプト恒例の依頼、魔王を殺せるかを試すもの。 別の用事があるメルミナもついてきてアーキノルカ、対峙するのは巨大なスライム型の魔王。強さとしては大したことがないのだが、封印領域のものも含め一日もあれば完全復活する、という驚異的な復活能力持ちであり。調査を続ける中、ふと気になったのは瓦礫に刻まれていた、二百年ほど前から現れるようになった謎の文字。 書き写されたものを見たコノエは気づいた。これ、日本語ではないか、と。

 

読んでみればそれは、出会いから幸せにつながる愛の日記。三百年ほど前の姫巫女、ファティマの夫であった異世界人のもの。何かヒント、があるわけでもなく。

 

「これは、ずっと前から決まっていたことなんだから」

 

だけど判明するのは封印の真実。封印の結界を受け継いだフォニアの寿命はあと五年、という残酷な真実。運命だから、と受け入れようとする彼女を救いたいと、願う。その思いに手を貸すのは、テルネリカから託された固有魔法。 それが見つけ出したのは、魔王の中、その中で待ち続けていた男の思い。

 

「・・・・・・はい、任せてください」

 

『固有魔法―――この毒は、ただあの日伝えられなかった言葉のために』

 

愛した者の仇を取りたい、その思いが作り出すのは不死を殺せる五秒の時間。わずか五秒の電撃作戦、数々の影を乗り越え、魔王を討滅しつくして。救われる魂が確かにあって。

 

「また、一緒に夕日を見に行ってくれる?」

 

そして魔王を討滅したことで、フォニアにも無限の未来の可能性が開けて。その心に初恋を刻んだ、と気づかずまた日々が始まるのである。

 

前巻よりも円熟し、より面白さ深めていく今巻。シリーズファンの皆様はぜひ。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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