
さて、この感想を書いている当日、MLBの方で大谷翔平選手が十奪三振に三ホームランと別次元の偉業を成し遂げてしまったわけであるが、かの選手は五十盗塁+五十ホームラン、という大記録に加えて五十三振+五十ホームランというどう考えても破られなさそうな大記録も打ち立てているわけであるが。何かの大記録を成し遂げた人、というのはその記録のパイオニア、と言われるであろう。その記録に並ぶ人が現れるか、誰も追いつけない記録となるかはそれぞれ次第として。何かの道を切り開いていく人、パイオニアというのはその人しかいないわけで。そう考えると孤独、と言えるかもしれない。
というわけでこの作品はどんな作品、なのかというと。忍術が基本である和風の世界で、魔法を生み出し魔女となった少女、まほろ(表紙)。彼女の活躍を描いていくお話なのだ。
前世は三十代のOL、憧れは魔法少女や魔女。しかし転生した先は、己の中の内なる力、「チャクラ」を用いて超常の現象を巻き起こす忍者が基本である世界であって、魔法が存在する世界ではなく。
「忍者しかいない世界なら、魔法を創って魔女になればいいじゃない!」
そんな彼女が見つけたのは、「忍術他視覚検証伝」という、奇書として扱われそうな忍術の検証書。そこに書かれていたのは、魔法へのヒント、らしきもの。奇しくも弟が生まれたことで家の跡取りから外れた彼女は自由の身。早速研究をはじめ数年、十二歳になった彼女は中等学校へ通う年齢へ。
「まほろちゃんの魔法は常識なんて軽く変えていくんや!」
さて、ここまででまほろは何処までいけていたのか? 周囲から奇異の目で見られ、異端であるがゆえに一部から嫌われる彼女。だが、すでに彼女は魔女として歩き出していた。重力を操り飛行魔法を使え、召喚魔法から使い魔との契約まで。箒片手に古き良き魔法少女スタイルな彼女。そんな彼女は、チャクラが少なくて忍術を使えぬ落ちこぼれ、はやてに憧れられ。彼女と仲良くなったところで、幼馴染である忍術アイドル、あずきも近づいてきて。彼女たちを弟子とし、魔法を教えることに。
そも、この世界における魔法とは何ぞや? 忍術の亜種? 否、そうではない。体内のチャクラ、ではなく空気中に存在する魔素、まほろが見つけた未知のエネルギーを用いる魔法は、チャクラに関係なく使えるもの。故、それは希望ともなる。
「魔法は強力だからこそ、使う人には責任が付きまとうよ」
だけど、強力な力には責任が伴うもの。時に師匠として二人を戒め、だけど導いて。出場するのは学生大会。その中、親たちが見守る中で、侮ったり敵視してくる者たちに魔法の力を存分に示して。
「まほろ、お母さんも喜んでるぞ」
温かく見守ってくれる親たちにも褒められて。魔女としての道を、歩いていくのである。
我が道を突き進む、そんな真っすぐさが眩しいこの作品。女の子同士の友情、熱さを読んでみたい方はぜひ。きっとあなたも満足できるはずである。
Amazon.co.jp: 転生先の世界観は無視するけど良いよね! ~和風世界で規格外の【魔女】になりました~ : シュガースプーン。, 希望 つばめ: 本