
さて、時に画面の前の読者の皆様は「プロキシマ・ケンタウリ」という星をご存じであろうか。ご存じではないという方が多いであろうこの星は何か、というと。物凄く簡単に言ってしまえば、一番近い恒星系、別の太陽系である。だがそこまでの距離は四光年と少し。かつて機動戦士ガンダムシリーズのとある外伝で、そこへの植民を目指す者達が登場したが、その世界の最新のエンジンでも四百八十年はかかる距離であった。
つまりは何が言いたいか、というと。光年、というのは物凄く遠い距離である。この作品はそれでも、遠く、遠くへと。伸ばした手を、宇宙に伸ばしていく少女達のお話なのだ。
1999年、地球に襲来したのは恐怖の大魔王、ではなくウサギ的な生物から進化した宇宙人、モフモ星人。二百五十万光年もの先から、鯨型の宇宙船に乗って助けを求めて来た宇宙人たち。端的に言うと、ファンタジー的に言うならウサギの獣人的なその宇宙人たちと人類は友好を結び、現代。かつての隔離区画は約四十平方キロメートルの特区、「千里浜コスモタウン」へと変わり。人間とモフモ星人は共存していたのである。
「ねぇ、ちょっとお話しない?」
この街へと引っ越してきた、東京出身の猪突猛進純粋ガール、陽奈乃(表紙左)。彼女が高校入学前、海岸で出会ったモフモ星人、通称(陽奈乃命名)ルー(表紙中央下)。最初は逃げられてしまうも、気になって追いかけて、お菓子を切っ掛けに仲良くなって。聞き出したのは彼女の本音。地球に永住、ではなくモフモ星に帰りたい、きっと胸のもやもやは帰ればなくなる、と思っているボッチな彼女の心。
「自分たちで、小さな宇宙船を作んの!」
それを聞き陽奈乃が思いついたのは、宇宙船を作ってモフモ星へ行こう、という計画。クラスの天才美少女、宙理(表紙中央上)に相談してみるも、有人機というのは現実的ではないと呆れられ。ならば無人機、SOSのメッセージを送ろうと言う方向転換。無人機を作る同好会として、頼れる生徒会長の真帆(表紙右)まで巻き込んで。 モフモ星の言葉を二つ組み合わせ、「コードネーム・マカロン」を始める事に。
計画は全くなし、予算は一万。必要なのは多岐にわたるもの。だけど大丈夫、何とかなると。陽奈乃の行動力が突っ込み、真帆が交渉し、宙理が計算をして。 気が付けば高名な博士まで渡りをつけて、計画はどんどん形になっていく。
「・・・・・・この街で、みんなといるのが、楽しいって、思うようになったから・・・・・・」
その日々は、女子高生らしいエネルギーに満ちたもの。時に陽奈乃と宙理がレポート作成のために駆けまわったり、時に四人でお祭りでマカロンを売るためにメイド服でダンスをしたりして。わちゃわちゃとしていて、賑やかで。そんな日々が、ルーの心を変えていく、埋めていく。モフモ星、ではなくここが、この街がいい、と。SOSではなく、普通の手紙を出そうとマカロン計画は色を変えて、大詰めへ。
「行っけーマカロン! べんとらー!」
発射本番、ウミネコの邪魔と言うトラブルに皆で騎馬戦の要領で立ち向かうと言う一幕もありつつ打ち上げ本番、無事に宇宙船は宇宙まで飛んでいき。 陽奈乃はルーの直筆の手紙から、その本心を知って。
「もちろん無理しなくていいけど、ちょっと考えてみたら?」
少しだけ心近づき、打ち上げ後。まだまだ特別な日々は続くのである。
少女達の賑やかな、弾けるような。真っ直ぐなエネルギーが込められて、まんがタイムきららのような熱を感じて。そんなきらら的SF、真っ直ぐなエネルギーが込められたこの作品。満天の星空のような作品を見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。