読書感想:銀河放浪ふたり旅 ep.1 宇宙監獄の元囚人と看守、滅亡した地球を離れ星の彼方を目指します

 

 さて、スペースオペラ、スペースジャーニー。SFにおける人気コンテンツの一つである。そう考えると、人はやはり宇宙、見果てぬ世界に憧れるものなのであろうか。誰も見たことのない、行った事のない世界を見てみたい、行ってみたい。誰もが皆、そんな願望を抱えていたりするのだろうか。

 

 

しかしどこぞの機動戦士みたく人類は未だ宇宙にまで生存圏を広げておらず、火星や水星どころか月に基地もないわけで。まだまだ宇宙は一般人には遠い世界である。と、まぁここからこの作品の内容に触れていくが。この作品は未来世界。機動戦士ガンダム00みたいな軌道エレベーターが存在している世界なのだ。

 

「いやあ、退屈しないぞこれは」

 

未来世界、とある政治結社の象徴となるべく育てられた少年、カイト(表紙右)。ある日冤罪により逮捕され、彼に下されたのは七千日の追放刑。それは、監獄である宇宙船に乗せられ衛星軌道上に追放されると言うもの。 割り当てられた刑務官(表紙中央)から説明を受けるも、特に地球に未練はなく。 しかし刑務官が、ネットのアングラな片隅に埋もれているディープな作品のデータにもアクセスできると知り。元々そういう作品が好きな彼は、好きなだけアクセス出来て読書できると言うその環境に天国を感じる。

 

「本日をもってミスター・クラウチの刑罰期間が終了したことをお伝えします」

 

そしておよそ三年。規則正しい生活を続けていた中、突如刑務官から伝えられたのは地球滅亡と言う話。窓から見える地球を見てみれば軌道エレベーターは折れ、地球は妙な模様に染まっていた。

 

「やあ、楽しくなってきた」

 

さて、どうするのかこれから。カイトが思いついたのは、人類が行った事のない最果て、木星軌道まで行ってみると言う事。刑務官に「エモーション」という名をつけ、監獄船を「グッバイアース号」という名の宇宙船に改造し。二度とは戻れぬ宇宙の旅へと飛び出していく。

 

「ようこそ、勇敢な。あるいは無謀な旅人」

 

半年ほどの後、辿り着いた木星軌道。そこで待っていたのはセンサーに映らぬ謎の宇宙船、未知との遭遇。 中へと案内され、そこにいたのはもふもふな獣人的知的生命体、リティミエレ。彼女?が語るのは、地球人がこの辺りまで到達できた時点で、自分達「連邦」と呼ばれる組織に迎え入れようとしていたということ。最初に接触した彼が地球の代表、という事になり。連邦の十四の身分のうち上から三つ目の身分を与えられることに。更にこの宇宙で生きていくために、身体改造を受けさせてもらえる事に。 そこで趣味で超能力を目覚めさせる改造を選んだら、連邦の議員であるくらげに似た群体の知的生命体、テラポラパネシオに気に入られて。 地球、という星の成り立ちに関わる連邦の罪を知らされ、地球を元の環境に戻すために保護する、という提案を受けて。アップデートし人間の身体を得たエモーションと共に動き出す。

 

新たな相棒となる宇宙船、テラポラパネシオ達も用いる超能力で動かす「クインビー」号。向かうのは地球。生き残っている地球人を騙し拉致している、連邦から追放された種族と、人類の大犯罪者、ギルベルト。

 

「了解しました。ではちょっと、本気を出しますか」

 

家族、そして補佐役だった少女、レベッカとの再会。だがギルベルトの下種な策により人質に取られてしまい。だけど心配ご無用。 怒りと共に暴れ回るカイトの目覚めた本気が、戦場を蹂躙して終わらせて。

 

「それに、時間だけならいくらでもある」

 

その先に旅立つために。カイトとエモーションの新たな仕事が始まるのである。

 

正にスペースオペラ、スペースジャーニー。心踊る冒険が繰り広げられるからこそ面白い。故にSF好きな読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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