読書感想:神の試練で最強になった凡人当主、災厄前の世界に帰還して無双する2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:神の試練で最強になった凡人当主、災厄前の世界に帰還して無双する1 - 読樹庵

 

 さて、前巻で神の試練を乗り越え災厄の起きる前に戻り、陰陽庁長官、竜翁としての権力も用いて災厄を乗り切った主人公、八幡であるが。著者である奉先生の作風をご存じの方であれば、その作風はご存じであろう。圧倒的な中二病、そして敵味方共に一筋縄ではいかない、という事である。敵味方共に一枚岩ではなく、それぞれの陣営の中でそれぞれの思惑が巡っている、という状況。例に漏れず、この作品もそう言った方向へと進んでいくのである。

 

 

「あれだけ啖呵を切ったのだから、ならばやってみろということでしょう」

 

前巻の災厄、それは無事に解決し、「予兆事変」と言う名で呼ばれる事になり。後始末やらに状況は進んでいく中、実務に手を出していく事になった八幡に持ってこられたのは、特に緊急性も無い書類仕事。これはまぁ、事務仕事の習得はしていないので仕方ないとして。後始末に出る八幡の前に訪問してきたのは、関東の彼らとは溝のある関西の面々。御三家と対を為す五摂家の次期当主であり、十二神将にも名を連ねる紅音(表紙左上)と月詠(表紙右上)。

 

申し出られたのは、八幡の護衛として紅音と月詠が東京に常駐するというもの。原初の異邦人のなりふり構わぬ動きが予想される中、戦力は必要であり。家が出来るまでは愛沙の家にお世話になることになる中、月詠から提案されたのは、親睦を深めるために皆で海へ行こう、というもの。海への興味から了承し、逗子にある月詠の実家の別荘へと向かう事に。

 

「これもすべて、陰陽道の未来のためなのです」

 

が、しかし。それこそは月詠が仕掛けた罠であった。原初の異邦人と一時的に手を組み、八幡と愛沙、絵理奈が分断されてしまい。絵理奈は月詠とぶつかり合う事になり、絵理奈は原初の異邦人の「第六使徒」と激突する事になり、八幡は紅音と一戦交えることに。

 

「・・・・・・本気を出さなきゃ、失礼だよな」

 

それぞれの闘いが様々な方向へと収束していく中、紅音の中の闇、強くなりたいという渇望の根源を見た八幡は、失礼とならぬためにも本気を解き放ち、天頂としての力を見せつけて。月詠の手によって「第六使徒」は捕らえられ、瘴気石も手に入るという敵の手の内を知る結果を得る。

 

「あの程度なら代わりはいくらでもいる」

 

「そう思うと、なおさら諦めきれません」

 

しかし、まだ彼らは知らない。「原初の異邦人」にとって、この結果は寧ろ想定内である事を。月詠がなぜこんなことを企てたのか、その真意も。

 

敵味方の内情がある程度示され、本格的に動き出す今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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