読書感想:煩悩の数だけ恋をする 108つの才能へ愛を込めて

 

 さて、天はヒトに二物を与えず、と言ったりするけれど。こういう才能を得たかった、という思いがある読者様も画面の前にはおられるかもしれない。才能が欲しかったと嘆かれている読者様もおられるかもしれない。しかし才能があろうとなかろうと人は生きていくしかない訳で。才能がないならばないなりに努力して、結果を掴んでいくしかないのである。

 

 

さて、かつての歴史には万能の天才と呼ばれた人が居たりする訳であるが。もしかしたらその人は天から幾つもの才能を与えられていたりしたのかもしれない。この作品はそんな、「才能」を巡るラブコメなのである。

 

「残念ながら、その天罰を下す紙に俺は誰よりも愛されている。なぜなら、俺はこの世の中で誰よりも才能に溢れた、完全無欠の天才なのだから!」

 

とある高校に通う少年、純之介。彼を一言で言い表すのならば、完全無欠。正にあらゆることの才能に溢れ、何でも天才的に出来る彼。だがその代償にか性格は傲岸不遜、人格破綻気味でありナチュラルに上から目線な言動に女子達からは顰蹙を買いまくり任期は最底辺もいいところ。そんなある日、彼はまるで全ての才能を失くしたかのようにあらゆることが凡人以下になってしまい。その後の夜、夢の中に現れた神様、レイから衝撃の事実を告げられる。

 

「・・・・・・俺なりに、その期待に応えてご覧にいれよう」

 

それは実は純之介は他の人に与えられるべき才能を108個、前任の天の神により間違えて与えられ、更には回収された後の才能は108人の少女に間違えて再配布されてしまった、という事。正しい才能を与えぬと、「弊害」に悩まされてしまう事に。そこで純之介は思いつく。ならばその108人を侍らせてしまえば、実質その才能は自分のものだと。レイに協力を願い出、その108人は自分の傍に居る筈という情報と「神通力」を貸してもらい。自分の本当の才能、「恋愛の才能」を武器に少女達の捜索と攻略を始める事に。

 

出会っていくのは、何故か影の薄いギャル、千陽(表紙)、外見完璧内面ポンコツな渚、人間不信で被害妄想まっしぐらな栞といった、才能の持ち主の少女達。初めて、幾多の才能の上にあぐらをかくのではなく、自分の才能をきちんと使おうと頑張って。少しずつ、彼の歪みは真っ直ぐに直り始めていく。 才能ゆえに歪んでいた、実は意外と好男子な部分が掘り出されていく。

 

「決して不幸にならない、心安らぐ物語を現実につくろう」

 

そこへ迫るのは一目ぼれしたとのたまう少女、愛衣。真っ直ぐぶつかり合い墜としていく、だが墜とし続けるという事は思いを自分に集め続けると言う事。ならば選ぶのは一人か。否、彼は傲慢に、だけど自分の意思で選び取る。全員を幸せにすることを。

 

才能、そして成長と更生の熱さがあるこの作品。成長系のお話が好きな読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 煩悩の数だけ恋をする 108つの才能へ愛を込めて (MF文庫J) : 汐月 巴, 最中かーる: 本