読書感想:若返った俺が、二度目の高校生活でやりたいこと 何故か妹になったクラスの女ボス付き

 

 さて、異世界転生すると年齢的に若返ることは多いのだが、よく考えると若返り、というのはそういう魔法のような要素が絡まないとできないのかもしれない。例えば某コナンで、工藤新一が縮む原因になったあの薬。子供の頃は特に何も思わなかったが、大人になって色々な事を知る年齢になると思うのは、あの薬どういうメカニズムなんだ、という疑問かもしれない。

 

 

実際、どういう仕組みで若返っているのか。説明があったかもしれないがもはや忘却の彼方ではある。と言う訳でこの作品は、そんな若返りから始まる。転生、ではなく若返り。このタイトルからは想像もできないかもしれないが、龍が如く的な方向性の作品なのだ。

 

ごく普通の、クラスに馴染めぬ日々を送る少年、南樹。だが彼は公的には存在しない人間。その本当の名は、「本条大和」。後悔と妥協ばかりで生き抜いていたら裏社会で生きることになって、とある襲撃で瀕死の重傷を負い、闇医者が投与した試薬の想定外の副作用で若返った人間。

 

「家にいるのが億劫だったり、とにかく遊んで嫌な現実から目を背けたいって時は、きっと誰にでもあると思うし」

 

そんな彼の願いは、青春をやり直す事。だが彼の青春時代と、今の青春時代の在り方は異なっている。今の、どこか冷めてドライな青春に悩みながらも、隣に得たのはクラスの女ボス、綾香(表紙左)。毒親から借金を背負わされそうになった所を南樹に助けられ、戸籍上は妹となった彼女。大和時代の隠れ家であるマンションで同居するある日、彼女が言いだした夜の街の見回りに付き合う事になり。夜の街のコンビニのオーナーから聞いたのは、彼らの通う高校の生徒がキャバクラで働いているらしい、というもの。当然違法である為、放置は出来ず。捜査を開始する事に。

 

だが、当然夜の街、というのは普通の高校生にとっては門外漢、なわばりの違う所。「がーねっと」という源氏名の彼女を追う中、ヤクザである「狂武会」の幹部、須藤が絡んできて。南樹の一計により身分を偽り、彼女の働くキャバクラに潜入する事に。

 

「退屈で退屈で仕方なかったんですよ」

 

「あたしとあんたってさ、きっと似たもの同士だと思うんだよね」

 

歓楽の場でがーねっとから聞いたのは、彼女が抱える生きづらさとここで見つけた、ここに居ることの意味。 後日、学校でその正体であるクラスの陰キャ、静代(表紙右)に接触し。ここに居る意味を、という事で友達になる事に。

 

そこへ水を差してくるのは須藤。がーねっと、もとい静代に執着する彼により連れ去られた静代を追い、綾香をサポートに残し、南樹は素顔を隠して接触して。

 

「本条大和の亡霊って言ったら、どうする?」

 

明かす、かつて狂武会若頭であった己の正体と、自分が瀕死に陥る事になったあの日の一端。その実行犯かと思われた須藤の口から出てきたのは、「アヴェイラブル」という聞いたことのない組織の名。どうも狂武会に代わり街の裏社会を支配する事を目論んでいるらしいその組織の幹部は、南樹と同じ学校の生徒もいるらしいと話され。状況は更に難解へと踏み込んでいくのだ。

 

任侠と仁義とケジメ、どこか昏めな作品の中に筋を通した面白さのあるこの作品。一風変わった青春を見てみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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