読書感想:ビリオネア・プログラム 汝、解と黄金を求めよ

 

 さて、ビリオネアというのは億万長者という意味であるらしい。億、円にしてみればどれだけの札束となるのだろうか。見たことがない人の方が大半で在ろう。億あれば何が出来るのだろうか。きっと思いつく事の大抵は何とでもなる筈だ。私だったら億あれば、旧作のラノベ大人買いとかしてみたいが。

 

 

しかし、億などという金を実際に見た事のある読者様は多分少ない、それどころかいないであろう。生涯賃金とかならそのくらいにはなるらしいが、それは実感を伴って目に見える数値とは言えぬかもしれない。まぁそんなビリオネア、億万長者という単語が重要なのだ。

 

学生に求めるのは莫大な資本を能動的に生み出し、巧みに扱える人間になる事のみ。資本を生み出す活動が出来て、卒業時には収めるべき寄付分を除いて、全て自分の物に出来る。そんな学園である長者原学園。今ここでセレクション、という特別な入学試験が行われようとしていた。

 

「―――将来的には結婚を前提に、俺と交際しないか?」

 

五日間、学園に滞在し開かれる試験。その中で出会った二人。アメリカから来たお金嫌いの少年、志道。現総理大臣の娘であり正しい在り方でもってその立場を狙う在歌。柄の悪い男子に絡まれている所を助けられて早々、何故か求婚され。交渉は呆気なく決裂する。

 

「あたしに素直に従属しなかったことを、一生、悔やませてあげるから」

 

そこへ声をかけてきたのは重工業会社の令嬢、琉花子(表紙)。幾らでも金はあげる、からこそ従者になれと志道を勧誘してくる彼女。魅力的な提案、しかし感じるのは自分の信念との相容れなさ。すげなく断り、宣戦布告され。セレクション試験は幕を開ける。

 

その内容とは、一日ごとに少しずつ解放される学園エリアを舞台にした、それぞれに賞金が設定されたクイズを解いていくもの。クイズ一問につき答えられるのは一回、そしてそのクイズは正解されたらもう答えられぬ。 クイズの奪い合いの様相を呈し始める中、志道は改めて在歌に共に組もうと声をかけ、試験中のシステムを生かした賭けに勝ち、共に試験に挑むことになる。

 

基本的に問題を解くのは在歌、志道は気ままに策を巡らすのみ。一見するとそれでいいのか、となりそうなコンビは何だかんだうまく行く。しかしそこへ、蹴落とすべく琉花子が取り巻き達を率い勝負を仕掛けてくる。

 

「やるか、やられるか―――お前は、どっちにするんだ?」

 

仕組まれていたのは狡猾な勝負、搦めとられる在歌。そこへ声をかけてくる志道。覚悟を、行動を問う彼に、再び在歌は立ち上がり。勝ち残るための策が公開される。

 

それは奪い合い、ではない本質を突いたもの。黄金へ至る解を求め、新たな金の流れを創造するもの。

 

「―――学生ごっこ、楽しめそう?」

 

その先に待っている結果、だが明かされぬ事実もある。在歌も琉花子もまだ知らぬ。志道、その全ては仮初であり、その仮面の下には大きなものが隠されていると言う事を。

 

奪い合いと騙し合いのゲームの中でそれぞれの思いが巡る、手に汗握る面白さあるこの作品。頭脳ゲームものを見てみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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