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読書感想:魔女と傭兵3 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、異大陸の街をそれぞれ満喫しつつ日常を過ごしているジグとシアーシャであるが、画面の前の読者の皆様はどちらの方が社交的、と思われるだろうか。多分、ジグと答える読者様の方が多いだろう。冒険者である為か基本的には冒険者同士の交流しかないシアーシャに比べ、傭兵であり更にはいい意味で人を差別しない性格により、コミュニケーション自体は普通に取れるジグ。という事はどういうことか、というと。ジグの方が面倒事に巻き込まれる可能性も高い、という事である。
シアーシャと別れ別行動中、雑貨屋で銘酒を見付け上機嫌なジグは、裏路地で暴漢に襲われていたマフィアの娘、カティア(表紙手前)を助け。その場ではあっさり関りは終わり、普通の日常に戻って。その中、カティアは再びジグに接触してくる。
「問題ない。あんたに頼みたいのは、アタシの護衛だ」
彼女が依頼してきたのは、自身の護衛。話を聞いた所、どうも街のずっと西に本拠地を置いているマフィアが新たな標的としてこの街を選び、既にマフィアには被害が出始めているという事。しかしそちらの対処はマフィア上層部に任せ、自身は多分いるであろう裏切り者を探し出したいと言う彼女。シアーシャが丁度、かつて組んだリンディアから受けた誘いに乗り気になっている事もあり。引き受けることにしたジグは、カティアと共に街の暗部に飛び込んでいく事となる。
しかし暗部に飛び込むと言うのはどういうことか、面倒事の香りしかしないという事だ。まず手始めに、カティアたちの組織と双璧を為すマフィアの関与が判明し、外から来たマフィアの軍勢とも一戦交える事となり。更にはジグたちの知らぬ所で、どうもドラッグは冒険者ギルドの中にも使用者がいるらしいと言う事まで判明し。マフィア同士の抗争、の筈が冒険者ギルドまで絡み始め。事態は混沌の色を深め始める。
「さてな。これから試してみるとしよう」
襲われるシアーシャ達、更にはジグも面倒事の渦中へ。ドラッグを使用していると疑われ、ギルド側の戦力である三等級冒険者のパーティと、時間稼ぎのために激突する事になってしまい。これまでの戦ってきた者達とは一段と違う強さを持った相手に、武器を砕かれつつも初期目的を達成する事だけは成功し。イサナも援軍として呼ばれたマフィア同士の抗争は無事に終結を迎える。
「・・・・・・何なのあいつ?」
「本日は、警告に参りました」
その結果として高位冒険者達から目を付けられ、謎の宗教組織も接近してきて。気が付けば厄介な縁が、またジグに絡みついていくのだ。
シティ・アドベンチャー的な味の中で熱い戦いを繰り広げる今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。