
さて、時に画面の前の読者の皆様は暗殺者、殺し屋と聞いてどんなキャラを連想されるであろうか。自分はまずゴルゴ13というキャラが思い浮かんだが、彼は狙撃手、スナイパーであるのでどうなのだろう。画面の前の読者の皆様なら「山の翁」と呼ばれる暗殺者がメジャーであろうか。私は「山の翁」であれば、ファンから「じいじ」と呼ばれる方が好きなのであるが。
と、まぁそんな四方山話はさておき。暗殺者、というと大抵のイメージとしては夜闇に紛れ、己の肉体と武器を駆使して、標的の命を確実に狩る、というイメージがあるかもしれない。この作品における主人公の暗殺者、コードネーム33、ミミ(表紙)。罪を犯した者を依頼に応じて狩る暗殺組織の一員である彼女は、十四歳ながら高い腕前を持つ凄腕暗殺者。
「一週間後、あなたを殺します」
が、しかし。彼女の暗殺には一つ、暗殺者にしては妙な特徴があった。それはまず、標的に接触し一定期間の後、殺すと宣言し。その期間の間は寄り添い行動を共にし、犯罪行為以外は助けになるし希望も叶えるという、文面にすると首を傾げそうな特徴があったのである。
売り物である麻薬を盗んだ麻薬運びの青年、リカルドには一週間の間に罪を自覚させ、菓子職人になりたかったという夢を少しだけ叶えさせて。ドラゴンを不法に飼育していたという罪で指名手配中の、一週間後に出産予定の妊婦、エレナには、自分と同じようにドラゴンを愛する者達を助けさせ、組織の病院も紹介し出産のサポートもし。
それは正に終活。死への旅路の準備を整えさせ、人間に戻してから殺すようなもの。それに至るきっかけとなったのは、見習いの頃に関わった、暗殺対象との交流の中に遺していた心残り。 だけどそんな彼女の暗殺に、狂いが生じていく事態が起きていく。
悪人を自ら狩っていた少年、ジャビド。彼の願いは叶えるも、心の信念を折る事は出来ず。危うく任務失敗、の先にボスからの任務として申し付けられたのは、家族を皆殺しにした少女、アメリアの暗殺任務。だが話を聞き調べれば、どうも兄だけは殺せていなかったと知り。その兄とは、今まさに組織を裏切ったコードネーム22、ニイニであると判明し。 ボスからの任務に隠されていた秘密も明らかになった事で。ミミもまた組織を裏切ることにし、ニイニとアメリアを逃がす事を選ぶ。
組織からの追手として現れたのは、創設メンバーの一人であり、ミミの師匠でもあるアルク。激突の中、渓流に落ち。 とある薬により一時的に過去の優しさを取り戻していたアルクに助けられ、殺す事を考えるもそれを実施できず。更にやってきた、組織の医者であるデュオより、全ての事実を教えられる。
ボスからの任務、その暗殺対象に隠されていた意味。それは、アルクという歪んでしまった暗殺者の心から。 暗殺者という道具に徹するからこそ、の絶つ為の任務。
「私は、思い出と共に生きてゆけます」
それは全てを切り捨て、振り捨てていく道。 相対するはミミの道。暗殺対象から思い出を貰って、それを全て背負って歩いていく道。 激突の先に新たな居場所を見つけて。ミミは新たな道へ歩き出していくのだ。
この作品は、家族のお話である、思い出のお話である、そして愛のお話である。だからこそ何処か切なく、温かくて。心に刺さるものがあるのかもしれない。
そんな、切なさの中に温かさのある作品を見てみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。