さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。ファンタジーを舞台にした異世界では、人間である主人公と異種族のヒロインとの恋愛が描かれる事が多いが、画面の前の読者の皆様であれば、異種族のヒロインはどんなヒロイン辺りまでなら自分も恋愛対象になるであろうか。どこまで人間と違えば、自分にとって恋愛対象とならないであろうか。
その答えは各自それぞれ、であるが現実の人間の性癖はそれはまあ広いものである。異種族はいないが物に恋をする人だっているくらいに。
ではもし人間とほぼ変わらぬ見た目の精霊が存在しているとしたら、皆様は恋愛対象にされるであろうか。この作品の主人公であるレオンハート(表紙右)はそういう存在であり、精霊を恋愛対象として愛する者である。しかし彼の生きる異世界においてはそのような人間は少数派。だからこそ彼は三年に一度の精霊大戦に出場し、神の試練と呼ばれる天空の塔へ挑戦しようとした。しかし彼は相方である精霊、エメラルドティアーズ(表紙左)と共に「黄昏の魔王」と「疾風迅雷」と呼ばれながら。決勝戦を前に無念の離脱をしてしまったのである。
その戦いから五年後、「黄昏の魔王」の名が腰抜けと認知されている頃。再びレオンハートはエメラルドと共に動き出し。地方都市の闘技場で全線全敗の精霊、ブラックダイヤモンドと出逢う。
「これから先、自分がどうしたいか色々と考えておくがいい」
自分を卑下し弱く振る舞う彼女に手を差し伸べ、その隠された成長性を見抜き共に歩もうと声をかけ。あっという間に惚れ込ませ、彼女と共に闘技場の舞台へと上がる。
常にクールに振る舞い、必要ならば大切な相棒を守る為、精霊の攻撃の前にだってその身を晒す。正に恰好いいという言葉を体現したような彼。だがしかし、それは本来の彼の性格ではない。単に頼れるマスターに見える様にクールに振る舞っていたら、後には引けなくなってしまったのである。
だが、精霊を思う気持ちに偽りはない。内心はドキドキ、童貞そのものな心を持っているとしても、決してそれを曝け出さずクールに振る舞い。その心意気に惹かれ、ブラックダイヤモンドは今まで負け続けていた相手を次々と打ち倒し。強大な精霊、アマゾネスボルケーノをも越え、突如襲い掛かってきたドラゴンにも果敢に立ち向かう。
「己の精霊を信じなくて、なにが精霊使いだ」
そして想いは繋がる。寿命を迎えかけ命の炎尽きようとするエメラルドを救うため、精霊の世界へと向かい。強大な敵を前、只一人で戦おうとする彼の前にエメラルドは駆けつけ。心を重ねる時、かつて疾風迅雷と呼ばれた最強の力が目を覚ますのである。
絆の熱さが眩しく、そして無双とハーレムが爽快で。故にこの作品は真っ直ぐに面白い。
真っ直ぐな面白さを読んでみたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
精霊少女に『カッコいい俺』だけ見せていたら、いつの間にか最強になっていた (ファンタジア文庫) | 平成オワリ, 高峰 ナダレ |本 | 通販 | Amazon