読書感想:鋼鉄城アイアン・キャッスル2

 

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読書感想:鋼鉄城アイアン・キャッスル - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さてさて、およそ一年と少し待たされたわけであるが無事に発売されて何よりである。「鐵城」と呼ばれる数々の城が変形した兵器が鎬を削る、このぶっ飛んだ背景の戦国時代。一体ここまで何があったのか、というのは上記の前巻の記事を参考にしていただくとして。既に今川義元が竹千代の手によって討たれた、というもしもの歴史を辿り始めた今作品、果たして今巻ではどんな戦いが始まるのか。それをここから見ていきたい。

 

 

佐吉が新たに仕えた秀吉が墨俣城を得、信長に仕え。破竹の勢いで進撃を続ける信長が朝倉討伐に赴き、背後の浅井に裏切られ、挟み撃ちの事態となり。

 

「色々言ったが、噛み砕いて言えば、友達になろうぜッて、そういうことさ」

 

 その窮地の場、助太刀に訪れたのは浜松城を駆る竹千代。彼の助太刀により場を乗り切った後、信長へ竹千代は友情を押し付け。彼のあり方を気に入った信長は友誼を結び、三河への侵攻を取りやめ各所の敵への討伐へ向かう。佐吉との再会も一瞬、竹千代と佐吉はそれぞれ東と西に別れ、それぞれ強敵とぶつかる事となる。

 

と、その前に何故か信長から妹であるお市の方(表紙左端)を託され。妻になりに来たという彼女を持て余し、まずは「己」を持て、と諭し。竹千代と佐吉はそれぞれの戦いの場へ向かう。

 

東から来る武田の軍勢の相手をする事になった竹千代は、心構えを求め上杉謙信の元を訪れまるで仏のような力を目撃し。戦場の絆と言わんばかりの約束で繋がった、謙信と信玄の絆を目撃し衝撃を受ける。

 

それと同時、西の毛利へ対処するための道を切り開く事を命じられた秀吉に帯同する佐吉は軍師である竹中半兵衛の天才的な策略を目にし、更には主君を裏切り仲間となった黒田官兵衛の悪魔的な策略を目撃し、未だ何も出来ぬ己の無力さに打ちひしがれる。

 

 走り始めたばかりの武、若き芽である彼等には決して未だ辿りつけぬ頂。叶わぬ差を前に抗う竹千代と佐吉、彼等の前に開ける天命が如き歴史の道。だが、突如として未曾有の事態が起こり得る。西の地では荒木村重が、東の地では武田勝頼が。赤いオーラと謎の錆を纏い、それぞれの場所で立ち塞がる。

 

 

(佐吉、俺はおまえを倒したい! 倒したいぞ!)

 

(俺の全ての戦は、竹千代、おまえを倒すための戦なのだ!)

 

龍氣の声を感じ取るお市の方が感じた不穏、それを齎す錆を纏う城。正にそれは至らぬ者達による逆襲。けれどそれはあまりにも軽い、あまりにも温い。何かに導かれるかのように感じた、互いの声。その声にまるで導かれるかのように。戦場の絆に導かれ、それぞれの戦場で立ち上がる竹千代と佐吉。負けられぬ敵がいる、ならばそれまでは負けられない。ならば負ける道理はどこにもない。

 

だが彼等はまだ知らぬ。事態の裏、全ての糸を引いていた黒幕、茶の魔人の暗躍を。その手に導かれ、とんでもない事件が起きようとしている事を。

 

時代の大河が加速を始める中、更に熱さを増していく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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