前巻感想はこちら↓
読書感想:はたらけ!おじさんの森1 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、おじさん達のスローライフと言う中々類を見ない方向から始まったこの作品であるが、おじさんという立場はこのスローライフではどんな方向へと影響していくのだろうか。それは前巻を読まれた読者様であればもうお分かりであろう。年長だからこそ、リーダーとならなければいけなくなる。必然的に指揮を執る立場へとなっていく。しかし何かお察しではないだろうか、画面の前の読者の皆様は。
船頭多くして船山に上る、という事態にはならないかもしれない。何故なら大人であり、清濁併せ呑み、例え嫌いな相手であったとしてもある程度協調性は取れるから。仲間内でリーダーを決めてしまえば、その指示通りに動ける柔軟さがあるから。
しかし、「あにまる」の子供達はそうではない。子供は良くも悪くも純粋であり、素直だ。だからこそ嫌いなものは嫌いと言ってしまうし、簡単に協調性は取れないのである。
サバイバル生活を続けるある日、島の外からやってきたあにまる、パンダを保護した進達。だがかのパンダはまったく協調性はなく、新参者でありながらまるで王様のように振る舞い、日々ぐーたらしてばかり。
そんな彼に子供達が不満を覚えぬ訳もなく。子供達の反発を招き、遂にブタサブロウを起点とし追放運動が巻き起こる。一体どうすればよいのか、協調か、追放か。
「そう、全ては俺達おじさんの所為なんだわ!!」
折しも山太郎の建築物の崩壊と喧嘩により、おじさん達の間にも不和が忍び寄る。しかし、子供達を前にし情けない所は見せられぬ。子供の不安は誰の所為か。「わかもの」のせいか。否、それは自分達の責任である。背負うべきは自分達である。
そう言わんばかりに改めて強調し、進達は様々な事を見つめ直し、再び協調し進んでいく。
何処か露悪的なパンダの内面に光を当て、その心を汲んで手を差し伸べたり。
島のヌシを釣り上げる事に挑んだり、今までよりもいい家を作ったり、学校を作ったり。
そんな中、実はすごい人だった木林の正体が判明したり、カンナが憧れの人と再会したり。
一度不和を経たのなら、もっと絆は強くなる。世界自体のアップデート、他の島との同盟解禁というような世界のレベルアップの中、彼等の絆はもっと深まっていく。子供達も含め、更なる温かさに包まれていく。
だからこそ、どこか心に落ち着く優しさと温かさが、今巻では更に、確実に上がっているのである。
そこへ迫るは、戦いを望む者達。折衝は避けられぬ、わかものではなく、同じ立場の者達の来訪におじさん達はどうするのか。
次巻、刮目した方が良いのかもしれない。