読書感想:「私と一緒に住むってどうかな?」3 見た目ギャルな不器用美少女が俺と二人で暮らしたがる

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前巻感想はこちら↓

読書感想:「私と一緒に住むってどうかな?」2 見た目ギャルな不器用美少女が俺と二人で暮らしたがる - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、一から始める山奥DIY生活、もといDIYラブコメである今作品は現状、ヒロインである扇奈から主人公である劉生への一方通行の矢印という状況であると言うのはこのシリーズを楽しまれている読者様であれば、既にご存じであろう。しかし、読まれているのであればご存じのはずである。劉生の心は扇奈からの矢印というジャブを何度も受け、大分揺らされていると言う事を。なればこそ、もしここで恋が転がり始めるのならば。それこそが本当の始まりであると言えるのではないだろうか。

 

 

日々DIYに励み家を修繕する事、早二か月。障子も整い、どんどんと進む修繕作業。

 

 しかし、最近その作業も少し停滞気味となっていた。それは何故か。ここで考えてみてほしい。春から始まり二か月経てば何の季節であるのかを。そう、「梅雨」である。

 

必然的に外での作業ははかどらず。諒子の手伝いで梅畑で梅を収穫したり。奏や智也も加え四人となり、日々賑やかになる古民家。

 

 しかし、それは劉生と二人で過ごす時間が減ると言う事。焦りを覚える扇奈は、梅雨という好機にお泊りを提案し劉生へとぐいぐいとアプローチを繰り返し。戸惑いながらも何とか跳ね除け。しかし手に入れた廃材を加工する為に泊まり込んだ劉生は夜に一人、何処か物寂しさを感じていく。

 

何処か空虚で何処か寂しい。美味しいはずのコンビニでの買い食いが、どこか味気ない。ここに彼女がいてくれたら。そんな思いが膨れ上がり止まらなくなっていく。

 

「新婚夫婦、ね」

 

その後、期せずして訪れた二人でのお泊り会と言う名のパジャマパーティー。二人で星空を見上げ、撮影した写真を見て否定が出来なくなっていく。今までできていた事が出来なくなる、扇奈の言葉が自分でも自然に感じていく。

 

至極当然、他の組み合わせはありえない。そう、もう切り離せない。まるで連星のように、二人が共に互いの重力に囚われ回り合うかのように。この関係は切り離せない。

 

「俺と一緒にここに住むっていうのは、ありか?」

 

 一人なら気楽、でも自分には扇奈が必要。相方と言う意味でも、そして恋慕うという意味でも。だからなのだろう。恋心を自覚した劉生の口からそんな言葉が、自然と転び出たのは。

 

そう、今ここに一方通行は双方向となった。お互いが向かい合った。ここからが両想い、本当の始まり。

 

画面の前の読者の皆様も是非見届けてみてほしい。きっと満足できるはずである。