読書感想:同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています2

f:id:yuukimasiro:20210324232910j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の最後、颯太の告白は確かに千春へ届いていたけれど、どこかうやむやに終わってしまったのは前巻を読まれた画面の前の読者の皆様であれば、もうご存じであろう。では今巻はその告白の続きからであるが、一体どうなってしまうのか。その答えを簡単に言うのであれば、前巻とは逆に千春が迫り、青海が離れるという展開である。

 

「・・・・・・だからね、このお願いはもう叶っちゃったんだ」

 

七夕から少し時間が経ち、千春と共にまた訪れたあの日の短冊が吊るされた場所。そこで目にするのは、颯太に自分の気持ちを届けたいと言う千春の願い。

 

 その願いは確かに届いていた。颯太と千春、似た者同士な二人は確かに互いを見ていた。だからこそ、もっとお互いの事を知りたいと友達同士から始める二人。そんな触れ合いの中で、颯太は千春の自分だけに見せてくれる秘密の顔を見ていく。

 

アニメを一人で見るのが好きだったり、アニソンに夢中になったり。少しずつ夏休みも迫ってくる中、二人の心の距離は徐々に近づいていく。

 

が、しかし。颯太には千春だけ見ている訳にもいかぬ理由があった。無論憧れの彼女は大切である。だけど同じくらいに、自分を慕ってくれる後輩だって大切なのである。

 

自分を避けようとする青海を必死に追いかけ、またもう一度手を伸ばし。少しずつ、ぎこちなくも二人の間の溝は埋まっていく。

 

 だが、青海はもう一度仲良くなるにつれて、目撃してしまう。颯太と千春の心の距離の急接近を。けれど青海は知らぬ、千春が曝け出す、彼女の心の本心を。

 

「―――だって私は、颯くんのことが本当に大好きなんだから!」

 

青海は知らぬ、千春が叫んだ心の叫びを。自分の大好きな人を馬鹿にするな、という怒りの声を。

 

「―――今はまだ、このままで、いさせて・・・・・・」

 

青海は知らぬ、二人のいい雰囲気の所に乱入してしまった後の、彼女の切なげな呟きを。

 

「・・・・・・私、負けませんから」

 

だが、負けたくない。自分だって颯太の事が大好きだから。例え二人の間の絆が固まりつつあろうとも、それでも譲れないのだ彼の隣は。だからこそ、青海は宣戦布告する。彼女にとびっきり似合う不敵な笑顔で。

 

もどかしくてこそばゆい。けれど確かに動いている、この三角関係。夏が終わり往く中、その先に何があるのだろうか。

 

前巻を楽しまれた読者様、もどかしくてこそばゆくて切ない三角関係が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています2 (MF文庫J) | 凪乃 彼方, 葛坊 煽 |本 | 通販 | Amazon