読書感想:同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は周囲に誰にも言えない秘密ってあられるであろうか。心の中にだけ秘めていて、墓の下に持っていきたい秘密ってあるだろうか。

 

因みに私にはある。が、ここでそれを語るわけにもいかぬので黙っておく次第である。

 

さて、そんな秘密がこの作品の主人公である颯太(表紙中央)にもあった。その秘密とは何か。

 

その秘密とは、某きらら漫画の主人公のように高校浪人してしまい、一年遅れの高校一年生であるという事。但し、受験に失敗したわけではない。詳しくは本編を読んでいただきたいが、仕方のない事情があったのである。

 

が、しかし浪人してしまったのは確かである。一年遅れの高校一年生であるのは変えられぬ事実である。

 

そのせいで憧れの存在だったかつての同級生、千春(表紙左)は上級生となり。かつて中学時代に共に陸上部で青春を過ごした後輩、青海(表紙右)が同学年の同級生として共に入学する事となってしまう。

 

 

お分かりいただけただろうか。この三人の三角関係は、とても複雑でねじ曲がっていて。やむを得ぬとは言え学年の壁に阻まれてしまったからこそ、とてももどかしくこそばゆいラブコメとなっているのである。

 

自分の秘密がバレぬよう、懐いてくる青海に振り回されながらも、もだもだと悩みながらも千春に近づこうと必死に頑張る颯太。そんな彼の動きは周りに阻まれたり、空回りしたりして中々進めなくて。

 

だけどそれもまた仕方のない事かもしれない。大学浪人ならともかく、高校浪人というものは中々になく、色眼鏡で見られる事が多い事だから。

 

が、しかし。本当の意味で先に進む為に必要なのは自分の秘密を認める事、きちんとその秘密を明かす事。

 

「浪人なんて別に大したことじゃない、俺は俺なんだってな」

 

気付いてみれば大したことではないかった。例え浪人だとしても、自分は何も変わらないから。

 

「俺は倉咲さんの口からは、謝罪の言葉より、感謝の言葉の方が聞きたいかな」

 

必要だったもう一つのピース、それは彼女の欠けた記憶。その記憶の欠片が埋まる時、二人の心は本当の意味でもう一度向き合えるから。

 

後は伝えるだけ、その筈だった。だけどまだ、物語の神様は平穏を許してはくれないらしい。まだまだ嵐に巻き込まれろと言わんばかりに、波乱の予感を撒いてくるのだ。

 

こじれこじれてもどかしく、この恋路はどこへ続くのか。

 

こそばゆくてもどかしい、そんな王道なラブコメが好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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