読書感想:陰キャラ教師、高宮先生は静かに過ごしたいだけなのにJKたちが許してくれない。 1

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ドラゴン桜、三年B組金八先生、ごくせん。世の中には様々な教師もののドラマや小説が溢れている訳であるが、画面の前の読者様にとって理想である教師像はどんなものであろうか。どんな教師であれば、信用できると思われるだろうか。熱血系の先生だろうか、それとも冷静に生徒に向き合ってくれる先生だろうか。

 

しかし、そんな先生は果たして本当におられるのだろうか。そんな理想形の先生ばかりでない事は、きっと画面の前の読者の皆様もご存じであろう。だって、先生だって教師である前に一人の人間である。一人として同じ人間はおらず、変な先生もいれば面白い先生もいるし、苦手な先生だっている。

 

「笑顔。・・・・・・俺には無理ですね」

 

 ではこの作品の主人公である、教員生活二年目の高宮統道先生(表紙左)は一体どんな先生なのであろうか。彼はやる気なし、元気なし、覇気もなし。ついでに言ってしまえば友人も恋人もなし。まさに無いない尽くしの、言葉にしてしまえばとんでもない教師だったのである。

 

普通に考えれば、保護者達からクレームが来てもおかしくはなさそう。が、しかし。今まで担任を持っていなかった彼は、今年初めてクラス担任となる事となる。

 

 彼が担当となったクラスで待っていたのは、正しく青春の香りが漂う、今まさに青春を過ごしている子供達。そして、青春の有り余るパワー同士の正面からのぶつかり合いである。

 

真面目で正義感の強い委員長タイプの千裕(表紙右)、典型的な不良タイプの紗月。

 

よかれと思って注意したことが裏目に出て、白眼視され孤立してしまう千裕。

 

クラスで巻き起こる問題に、彼は自ら飛び込んでいくのか。否、彼がそんな事をするはずもない。何故ならば彼は捻くれているから。ただ、静かに過ごしたいだけだから。

 

「俺も教師が好きじゃないんだ。自分勝手でわがままで、自分が絶対に正しいと思っている。・・・・・・でも、それは仕方がないことだ」

 

「教師は慈善活動じゃない。子どもたちを教育するなんて、そんなのは建前だ。結局、どこまでいっても仕事なんだよ。効率よく仕事を進めたければ、担当する生徒全員を思うことはできない」

 

 教師にあるまじき、教師とも思えぬスタンスで。まるで理想的な在り方を否定するかのように、ひねくれたままに生徒達に接する高宮先生。だが、真っ直ぐに向き合うのではなくどこか斜めから接する彼だからこそ、彼女達の本音は引き出せたのだ。

 

ひねくれた先生と、真っ直ぐな生徒達が織りなす、どこか歪で残念な青春。だが、だからこそ見た事のない青春を見せてくれるのがこの作品なのである。

 

ひねくれた主人公が好きな読者様、残念な青春が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

陰キャラ教師、高宮先生は静かに過ごしたいだけなのにJKたちが許してくれない。 1 (オーバーラップ文庫) | 明乃鐘, alracoco |本 | 通販 | Amazon