ホグワーツ、ボーバトン、ダームストラング。この三つの単語を聞き画面の前の読者の皆様は何を連想されるであろうか。それとも今の読者様の中でも若い世代の読者様では、この単語の意味はお分かりにならないかもしれない。この三つの単語は、かの有名な世界的ファンタジー、ハリーポッターシリーズに登場した三つの魔法学校の名前である。
ハリーポッターシリーズを読まれたことのある読者様は間違いなくご存知であろう、アルバス・ダンブルドア先生の名を。知らぬ方は今目の前にあるその電子機器で検索してみてもらいたい。一先ず知らないという読者様の為に簡単に説明すると、ハリーポッターの通うホグワーツ、その校長先生である。
では、もしかのダンブルドア先生が転生して自分が好調を勤めた学校に入学したら? 転生というものがかの世界でもあり得るのなら、あるかもしれぬ可能性。その可能性を形にしているのがこの作品である。
最強の魔導王という異名を欲しいままにし、最弱の魔力ながらも最強の座へと至った魔導士、セロ。しかし彼は満足していなかった。何処までも貪欲に魔法の道を極めたかった。その為に自分の創り出した学園へと通い、未来の可能性の塊である学生達と切磋琢磨し磨き合いたかった。
生粋の魔法バカである彼はどうしたか? その答えは簡単、「転生」。画面の前の読者の皆様であればよく聞きなれた方法であろう。彼は死した者の身体に魂を入れると言う、転生のバリエーションとしてはごく一般的な方法で表紙左端の姿へと転生する。
だがしかし、その転生した世界は千年後の世界。そして自分の得意分野であった支援魔法は、何故か初歩中の初歩まで衰退し、軽視される魔法へと貶められていた。
攻撃魔法のみが持て囃され、腐敗した貴族が幅を利かせる学園。こんな学園でセロは満足するのか? 否、そんな訳はない。それは画面の前の読者の皆様であればもうお分かりであろう。誰よりも魔法を愛し、この学園を愛している。そうでなくては主人公ではない。
「さぁ―――教育の時間だ!」
その姿勢、その背はあの日と同じ教師のように。支援魔法の、今の世界では彼しか知らぬ魔法を用い彼は学園の者達に教育していく。自らが愛する魔法の可能性を。
時に攻撃魔法科の生徒で貴族令嬢、レイア(表紙右端)に絡まれ圧倒的な力で魔法を教え込み。時に彼女の妹で、支援魔法科の同級生、チェスカ(表紙中央)を始めとする可能性の塊である同級生達と切磋琢磨し、夢に燃える彼等の手を取り教え導く。
言ってしまえば、王道ど真ん中であるかもしれない。使い古されたという枕詞が似合うのかもしれない。
だけど、だからこそ心が燃える。ファンタジーが好きという心に熱を吹き込んでくれる、わくわくさせてくれる。それこそがこの作品である。
ファンタジーが好きな読者の皆様は、是非頁を開いて彼等に会いに行ってみてほしい。
きっと貴方もわくわくできるはずである。
伝説の魔導王、千年後の世界で新入生になる 1 ~零からやり直す学園無双~ (HJ文庫) | 空埜一樹, ぷきゅのすけ |本 | 通販 | Amazon