読書感想:ねえ、もっかい寝よ?

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は寝る時に何かを抱いていないと寝れないタイプであろうか。何かを抱いて寝るのなら、一体貴方は何を抱いて寝たいだろうか。

 

新生活、それは夢溢れる新しい始まりであると共に、やはり不安溢れる季節、ともいえるかもしれない。

 

そんな夢も希望も不安も溢れる、高校生活という新しい始まりの季節に再会した、かつての幼馴染同士である二人の少年と少女がいた。少年の名は忍。この作品の主人公である。少女の名は静乃(表紙)。この作品のヒロインである。

 

幼い頃に交わした将来の約束。それは幼き頃を共にした幼馴染同士ではよくあるシチュエーションであるであろう。

 

しかし、その約束が二人の仲を取り戻す事を阻む事になってしまう。何故か。それは二人がそれぞれ覚えていた「約束」が何故か微妙に食い違ってしまっていたからである。

 

折角また仲良くなれるかと思ったらぶつかり合ってしまい。そこに新生活への不安も合わさり、不眠症という形で目に見えて現れてしまう忍と静乃。

 

だがしかし、二人はひょんな事から同じベッドで添い寝してしまった事で気付く。二人で添い寝すると、何故かよく眠れるという事を。

 

それは過去のやり直しだからか。それとも、今は未だ心の距離が離れていても、心がお互いが信頼できる相手であると覚えていて、無意識に求めているからか。

 

不眠症を解決する為の手段として、二人で添い寝する時間を作って。

 

だけど無邪気なあの日とは違って。お互いに成長していて。成長をふとした瞬間に実感してしまい慌てふためいたり。

 

だが、何も隠す事の出来ないゼロ距離とも言える距離で共に過ごす事で。言葉にしない方が伝わるものがあると言わんばかりに素直になれて。二人の心の壁は次第に解けてゆき、少しずつ、一歩ずつまた二人の距離は縮まっていく。

 

時に静乃の身体の成長に慌てたり。時にルールを二人で頭を捻って考えたり。

 

「俺は、静乃に苦しんでほしくないし、辛い思いもしてほしくない。だから―――せめて、大丈夫だって思いたいんだよ! あんな風に終わりたくない!」

 

そして、思い込みによるすれ違いから離れそうになった時。今度こそは離すまい、とその手を伸ばして。

 

もどかしくていじらしい。こそばゆくて甘酸っぱい。

 

何処か子供のように、だけど青春ど真ん中のように。あの日の思いを取り戻していく二人を見守るのは、親友を始めとする気のいい仲間達。

 

発想の勝利と言わんばかりのシチュエーションの中に王道ド直球の甘さと気持ちよさ、そして爽快感を詰め込んだのがこの作品なのである。

 

王道ど真ん中、いじらしくてこそばゆいラブコメが好きな読者様は是非読んでみてほしい。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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