読書感想:密かに推してた天使さまに逆プロデュースされることになっちゃいました!?

 

 さて、時にこの間、デビューライブが日本武道館という大舞台に挑む、ボーイズグループのデビューまでの日々に密着した約四年分のドキュメント、のCMを見た気がするがあれは何処であっただろうか。それはまぁ良いとして、デビューから日本武道館、というのも凄い事ではないだろうか。それだけ力が入っている、という事の現れなのかもしれないが。

 

 

という訳でこの作品はそんな、「アイドル」を題材にしたコメディ、ではあるのだが。確かにコメディなのだが。本気でアイドルというものに向き合い、夢に向かい時にぶつかり合う、熱さもあるお話なのだ。

 

整体師である母親を持つ少女、颯輝(表紙右)。彼女の密やかな推し、それは早朝のジョギングコースの途中、商店街にて一人歌っている「天使さま」。憧れを持ち、きらきらに目を焼かれるも話しかける事は出来ず。そんな中、立地最悪が故に潰れかけな母親のサロンの手助けになるべく、経営を学びたいと一念発起。

 

「げ、芸能マネージャーに特化・・・・・・?」

 

・・・・・・して、高校に入学したまでは良かったのだが。彼女は気づいていなかった、入学した高校が芸能人のマネージメントに特化した高校だったことを。何故入る前に気づかないんだ、というツッコミは無粋であろう。メタ的に言ってしまうと、気づくと物語が始まらないので。マネージャーの卵となった颯輝、しかし最初の課題である担当探しに乗り遅れ、芋っぽい彼女は誰にも相手をしてもらえず。

 

「いいわ、あなたのパートナーになってあげる」

 

そんな中、既にトップクラスのアイドル候補生、夏蓮に激しい様子でからまれている少女を目にする。彼女は凛莉(表紙左)。ジョギングコースで見かける「天使さま」、の筈なのだが学校での彼女に輝きはなく。放っておけず介入、色々あって凛莉に気に入られ担当になってもらう事に。しかし凛莉は宣言する。プロデュースされるのは自分ではなく、磨けば光る資質を持った颯輝の方であると。

 

「アイドルってね、【なれなかった誰か】の絶望の上に咲いているのよ」

 

凛莉の私服プロデュースにより垢抜け、その素質が周囲に広まり。そんな中、垣間見たのは凛莉がアイドルにしがみつく理由。そこへ接触してきた夏蓮に、自身の付き人に誘われるも颯輝は一蹴、しかし凛莉は夏蓮になびいたと勘違いしアイドル甲子園に向けての中間発表会で精彩を欠く事に。その後、誤解を解いて改めて本当の意味でパートナーとなり、アイドル甲子園出場を目指していく事に。

 

その道に立ち塞がるのは、凛莉と過去に因縁があるらしい夏蓮。段々と明かされていくのは凛莉の過去の過ち、その裏に隠れた冤罪。己の望む「アイドル」が出来ずに、孤立した過去。更に余計な水を差してくるのは、組んだはずのアイドルの裏切り。

 

「『私なんか』じゃない、『颯輝』とだからできるの―――」

 

「ねぇ、お願いだから私と輝いて―――?」

 

だけど凛莉は不敵に笑う。何故なら、もう二度と投げ出さないと決めたから。共に輝きたい相手を見つけたから。自分の夢、その始まりを思い出せたから。凛莉が差し出すのは、アイドルと言う地獄への招待状。颯輝はその誘いに乗る。地獄でも、凛莉と一緒なら輝いている筈だからと。

 

「今度は絶対に諦めないで」

 

その先、掴み取るのは次のステージへの切符。自身の過ちを悔いた夏蓮の思いを受け取り、颯輝と凛莉、連星である夜明けの明星は歩いていくのである。

 

 

笑い、そして真っ直ぐなアイドル、という熱さがあるこの作品。アイドルものを楽しみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 密かに推してた天使さまに逆プロデュースされることになっちゃいました!? (MF文庫J) : 星奏 なつめ, 池内 たぬま: 本