
さて、時に画面の前の読者の皆様の中には今までの人生で一度もモテた事のない、という方はおられるだろうか。恥ずかしがらずに手を挙げていただきたい、安心してほしい私もそうなので。もう吹っ切れてるという方もおられるかもしれない。私もその一人なので。別に恋人なんぞいなくとも、と思う方もおられるかもしれない。今はそうは思わないという方も多分、年を取ればそう思われるかもしれない。
しかし、まだまだ青春真っ盛りな子供たちにとって恋人がほしい、というのは真っ直ぐな欲望なのだろう。という訳でこの作品はそんな一人、倫太郎が天使と悪魔のドタバタに巻き込まれ始まる物語である。
「力を貸してほしいの」
可愛い系の少年、倫太郎の部屋にある日現れた、恋のキューピッド的な天使、ノエマ(表紙)。彼女がお願いしてきたのは天界の牢屋から脱走、この街に逃げてきたサキュバス、シニフィエを捕まえる手伝いをしてほしいというもの。何故彼なのか。それは運命の赤い糸的なサムシングが誰ともつながれていない、この町で一番モテない男の子だから。たまにいるらしいそういう存在、だが誰とも縁を繋いでいないという事は逆に誰とでも縁をつなげる、という事。解決出来たら神様が何でも一つだけ願いをかなえてくれる、という事らしく。ノエマをスマホの中に入れて向かった先、それは倫太郎の通う高校で。
「いつから好きだったの?」
まず初めの一人、それは幼い頃から知る幼馴染的存在、友利。一度フラれてももう一度勇気を出して、彼女の中のシニフィエの欲望を引き出して捕まえて。そこで判明するのはどうもシニフィエは、幾多の分霊に分かれて色々な少女の中に宿っているらしい、という事。
「―――自覚しろよ、お前は食われる側だってこと」
二人目、それはダンス部所属のギャル系女子、柑奈。彼女の好きを知り、絶体絶命でもあきらめずに頑張って。もう一体の分霊も無事に捕獲して。
それは今まで女性とのかかわりがなく、免疫ゼロだった倫太郎からすれば圧倒的な進展。倫太郎改造計画に巻き込まれたりしつつも過ごすのは、未経験の青春。
だが三人目、倫太郎が憧れる清楚系女子、桜乃の攻略にて波乱は起きる。取りつかれた事に無自覚だった前の二人とは違い、自分の意志でシニフィエに協力していた彼女に嵌められ、ノエマが乗っ取られてしまう事に。
「ノエマちゃんのことは絶対ボクが助ける」
まさしく絶体絶命、だけど諦めない。絶対に助けて見せる。なけなしの勇気を振り絞り、ノエマをキスで取り戻し、桜乃も助けて。三人の女子に囲まれる、彼だけの青春が幕を開けるのだ。
ドタバタ風味な中に、少年の勇気が一筋の熱さを持っているこの作品。瑞々しい熱さを見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。