読書感想:原作都合で消される強キャラに転生した俺、破滅エンドを回避して自由気ままに世界を蹂躙する1

 

 さて、時に画面の前の読者の皆様。皆様は例えば漫画やアニメ、ゲームにおいてシナリオ、脚本に不満を覚えられた事はあられるであろうか。例えば推しのキャラが不合理な展開で死んでしまった時、例えば道中の展開が超展開になってご都合主義に転化してしまった時。そんな不満を抱かれた事があるかもしれない。そのような事が起きるのは何故なのだろう。単純にシナリオ、脚本の作り手の力不足もあったりするかもしれないし、何かしらの事情が重なって、仕方なくという事もあるのかもしれない。

 

 

しかしご都合主義的に消されるキャラであっても、確かに設定があって、個性がある。これはそんな、ご都合主義で消されるからこそ最強に設定された強キャラ、べリウス(表紙中央)に転生した少年のお話なのである。

 

初期型のVRMMOの一つであり、今もなお根強いファンを持つ「Legend of Ragnarok」。 百年に一度、封印された赤き竜の封印が綻ぶと共に七魔将と呼ばれる魔族が生まれ、プレイヤーは勇者となり魔族を討伐、赤き竜の封印を目指すこのゲーム。幼い頃から国指定の難病に侵され、親からも見捨てられたこの少年も熱中し。べリウスの死をもって最終的にはラスボスになるティアナディア(表紙右)に、味方し固有ルートを発掘する程にほれ込んでいた。

 

「クソッたれなヤツだと呪うばかりだったが、もし本当にそんな存在がいるのなら、最大限の敬意を! 感謝を送ろう!」

 

その彼は転生したのだ、ティアナディアのご主人様であるべリウスに。喜びも束の間、このままではシナリオ開始のチュートリアルと共に死ぬと気づき。自分が死んだらティアナディアは闇堕ちしラスボスに、ならそんな運命捻じ曲げると動き出す。

 

まず出会ったティアナディアに聞き出したのは、残り時間は十日、であるという事。では何をすればよいのか。このべリウス、というキャラ、固有職業である「魔導皇帝」によりすべての魔法を覚えられる可能性を持ち、初期レベルも正に圧倒的。正にチュートリアルで死ぬからこそ、ふざけも込みで最強にされたキャラだ。 じゃあ何故殺されるのか。まず気づいたのはスキル構成が弱すぎるという事。という訳でやるべき事はスキルツリーの鍛えなおし、および仲間を作る事。そして、べリウスとしての記憶の中にある、忘れている記憶を探る事。

 

まずは妖狐族の奴隷少女、シグレ(表紙左)を仲間にし鍛えあげ。七魔皇としての役目もこなしつつ、べリウスが何をしていたのか、を探り出す。探る中、見つけたのは邪教による人体実験。そして占星術師でもある森の奥に住まう吸血鬼、ルナに何かを調べることをお願いしていたという事。

 

ティアナディアの秘密を知るも、どうしようもなし。そして自分もまた、彼女に秘密を隠している。生き延びるしかないと、懸命にチュートリアルの中へと飛び込んで。

 

「いいえ、わたしにはご主人様が必要でございます!」

 

だけど、べリウスは、少年は知らなかった。ティアナディアもまた、「ティアナディア」ではないことを。彼女の中にいたのは少年と共に過ごした「彼女」。人間だけど唯一受け入れて、自分の憎しみに整理をつけさせてくれた彼が今、生きているという事。だからこそ必要だ、と駆けつけて。少年は選ぶ、今度こそべリウスとして生きることを。大切な人が隣にいるのなら負ける道理は何処にもなし。無事、未知の未来への道を切り開いていくのだ。

 

大切な人への真っ直ぐな思いが迸る、熱さあふれるこの作品。熱さに触れたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

原作都合で消される強キャラに転生した俺、破滅エンドを回避して自由気ままに世界を蹂躙する 1 (オーバーラップ文庫) | 十利ハレ, 詰め木 |本 | 通販 | Amazon