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読書感想:天才美少女三姉妹は居候にだけちょろ可愛い。 - 読樹庵
さて、個人的最近のイチ押しでありもしかしたら、今年のこのラノの何処かでランクインもあり得るのでは、と思っているこの作品も遂に二巻目、前巻で理来と一夜、二葉、彩三のドタバタ生活も改めて絆を結び直したわけであるが今巻では何を語っていくのか、というと。前巻では他二人に比べて焦点が当たっていなかった彩三に触れていく巻なのである。
元気な陸上娘でちょっと小悪魔な彼女、一体何を考えているのか。実は他二人への劣等感があって。その辺りを解きほぐしていく巻なのでもある。
「怒ってはいないわ。ただ、お説教が必要と思っただけ」
前巻の最後、彩三が言い出した大会出場の危機。その理由とは、単に成績不足。天王洲の人間にとって結果を残すことは義務であり使命。しかし彩三は陸上のスキル全振りで勉強は壊滅的、であり。今度の期末考査で赤点を逃れなければ補講で大会に出られない、という事らしい。
「大丈夫。俺に任せてくれ」
そして彩三曰く、一夜はスパルタ派、二葉は感覚派と言う事で教えるには向いていない、という事で理来が勉強を見て欲しい、とお願いされて。あまりにもな学力にツッコミを入れたりしつつ、勉強の方法が分かってないだけで地頭は悪くない彼女の指導をする事に。
そうするとどうなるか。共に時間を過ごす事で、二人の距離は少しずつ近づきだす。彩三も理来の入浴中に乱入して来たり。触発された、という訳ではないかもしれぬが二葉も理来と一見するとラブラブな体勢でゲームをしたり、一夜は誠意を見せる証としてハグを要求して来たりして。
「君はただ、自分の好きなことをとことん突き詰めていけばいい」
そんな中、彩三が理来に明かすのは己が抱えたもの、姉たちへの劣等感。常日頃からして姉たちとひとまとめにされて見られ、比べられ。自分自身も姉たちとは違い、お金を稼げる才能を持っている訳でもない、足が速いだけ、劣っていると自虐する。しかしそれを支えるのは理来の役目。天才を羨む天才、だけど凡人から見れば天才なのは変わらない。他人の事なんて気にしなくていい、と否定する分褒めていく。
「俺は、一生かかっても返しきれないほどの恩を彼女達からもらいました」
「だから、俺は彼女達のためにできることをしてあげたいんです」
しかし彩三は頑張りすぎて体調を崩してしまい、期末テストを受けれぬ危機。そこで理来は立ち上がり、理事長に直談判する。己の成績を引き換えに、彩三に再テストのチャンスを、と。一夜と二葉も同調し共に談判、結果として理来の成績の半分を対価に交渉は通って。
「どうしよう・・・・・・あたし、センパイのこと―――本気で好きになっちゃった」
それをひょんな事から知って、彩三の中、曖昧だった思いは形となる。今開花する、理来への恋心。それを胸に、彩三も恋の舞台へと上がるのである。
遅れて来た姉妹が追い付いて、本格的に恋が動き出す今巻。やはり良い、じつにをかしく、愛らしい。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
天才美少女三姉妹は居候にだけちょろ可愛い。 2 (GCN文庫 ア 03-02) | 秋月月日, 塩かずのこ |本 | 通販 | Amazon