
さて、日本には忍者という存在がかつていて、今の世の中においてはニンジャスレイヤーなる忍者が、存在していたりする訳だが。忍者と言うのはそも、NARUTOのような存在ではなく、基本的には諜報活動担当の世の闇、裏方の部隊である。そして忍者というと伊賀、甲賀などの忍者が有名、かもしれない。しかしそんな存在も今は昔、と言う訳である。
それもまた仕方のない事かもしれぬ。今の時代に忍者が存在していても、食い扶持はない、かもしれないし技も役には立たぬかもしれない。だけどもし、そんな忍者が現代も生きていて、活躍の舞台が突然出来たとしたら? この作品はそういった作品なのである。
よく見れば整った顔立ち、しかし全体を見れば平凡、よくある目立たないタイプ、な少年、大弥(表紙中央)。ある日通りすがりの街角、宝石店にて強盗事件が発生し。その人質として、自分にも分け隔てなく接してくれる生徒会役員が捕まっているのを見、見逃せぬと彼は決意する。
「この日のために鍛えた力ってわけじゃねぇけんど・・・・・・」
それは己の力、たった今まで積み上げ鍛え抜いた現代の忍術、上州大魔縁流を用いると。それは武士からすれば邪道、小手調べ。歴史に名もない、振るわれる事もなかった技。だがそれはあらゆる敵との戦闘を考え、磨かれてきた技。まず初めに対するは、かつて赤穂浪士を苦しめた剣豪、一学。過去の人物であるはずの剣豪が何故。それは龍神様なる存在に復活させてもらった、という事らしく。勝利はするも、まだ復活している者はいる、と告げられ。その後、接触してきたのは生徒会会長であるすみれ(表紙右)と、蘇った者の一人である上泉伊勢守信綱。すみれが置かれている現状を知り、何か手伝えないか、守れないかと申し出てもその手は跳ねのけられ。
だがそれでも、大弥は決意する。自分には不相応だとあらゆる人に言われたとしても、その場に首を突っ込んでいくという事を。恋、ではない。自分には不相応だと自戒しているから。それでも、戦うと決めたから。祖先たちの願いの為、そして己の願いの為に。
「改めまして、あんなに勝ちたいす」
「―――一手、ご教示お願いいたします」
柳生の手の者も現れ、争いはすみれを中心として起きそうになる中。その場に飛び出した大弥は先約を主張し、信綱と激突する事を選んで。
「我らを必要とし、我が名を呼んでいただくこと、それが大魔縁流の望み」
その果て、信綱より警告と共に未来を託され。守役としてすみれと契約を結び。新たな主従として、戦いが始まるのだ。
これより立ち塞がるのは古の剣豪、対し立ち向かうは邪道、偽物の技。偽物なりに考えて考え抜く先、磨き抜かれた技は時代を越えられるのか。ロマンあふれる戦闘が見所であるこの作品。浪漫ある戦闘が見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
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