読書感想:シャドウ・アサシンズ・ワールド ~影は薄いけど、最強忍者やってます~

 

 さて、暗殺者と書いてアサシンと読むと思われるが、一口に暗殺と言っても様々な手口があるであろう。眉間をズドンと撃ち抜くのも暗殺であるし、毒を飲ませて殺すのも暗殺と言える。一口に暗殺と言っても色々ある。そんな暗殺を生業とする、日本に古来からいた者として忍者、という存在が題材になると言う事もあるかもしれない。この作品はそんな暗殺者、忍者にゲーム中でなるお話なのだ。

 

 

しかし忍者と言うのは、暗殺者と言うよりどちらかと言えば諜報員であったらしいがそれはともかく。忍者と言うのは文字通り忍ぶ者。つまりバレてはいけない。その意味ではこの作品の主人公、小夜(表紙右)はぴったりであったのかもしれない。何故ならば影が薄すぎるので。

 

出欠確認の際に飛ばされるのは当たり前、修学旅行では置いて行かれるし、自動ドアは反応してくれず。 まぁ諦めも抱えつつ過ごしていたある日、夏休み。偶々数年ほどまでから全世界で注目されているフルダイブ型バーチャルリアリティーゲーム機の最新デバイスを手に入れ。起動し、ゲーム空間でAIにより選ばれたMMORPG、「シャドウ・アサシンズ・ワールド」にお試しでログインした事が彼女の運命を変える。

 

忍者、狙撃者、武闘家、呪術師の四つのジョブの中から一つを選んで一流の暗殺者を目指していくこのゲームの中、小夜の影の薄さをAIが読み取り芽生えたのは、EXスキルと言う彼女だけのスキル。

 

 

「ちょっと、本気で頑張ってみようかな・・・・・・」

 

そのスキルが彼女だけの力となり、レアなエネミーを倒せたことで少しだけ自信となり。気が付けば秋、彼女はPN「クロ」としてゲーム内でも有名な忍者になっていた。

 

「あなたは命の恩人です!」

 

そんな中、プレイヤー参加型の迷宮を舞台にしたイベントで出会ったのは、初心者であるヒカリ(表紙左)。クロの気配遮断を見通してきた彼女を助けてしまい懐かれて。一先ずイベント中は共に行動する中、出場を目指す、賞金も出るゲーム内の大会がタッグ戦であるとアナウンスされ。

 

「アタシには師匠しかいないんです!」

 

友達ゼロ人、諦めるしかないか。だが彼女自身も賞金の為に優勝したいヒカリに熱心に頼み込まれ。背に腹は代えられないという事で、彼女とコンビを組み、まずは彼女を育成していくことに。

 

「さてと、行くか」

 

彼女のグイグイ来る、いっそ距離感ゼロにしてくる勢いの人懐っこさに拒みきれずいつの間にか絆されて。時に彼女の何気ない一言に傷つけられたりしつつ。だが修行の中判明したのは彼女が自分とは正反対のクラスのギャル、明美であると言う事。自分がクロである事も言い切れず、現実世界では明美と少しずつ仲良くなる中。風邪を引いた彼女のお見舞いに行こうとするも躊躇ってしまい。だけどクロの幻影に背を押され。勇気を出して明かして、真の意味で絆を手に入れていく。

 

 

そして二人で対決するのは最強の狙撃者。圧倒的に不利、だけど二人でなら。常識を超えた作戦と忍者らしい戦いで勝利を収めていくのだ。

 

彼女が彼女に出会い、人間関係を広げていく。そんな爽やかさが見所であるこの作品。出会いのお話を見てみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

シャドウ・アサシンズ・ワールド ~影は薄いけど、最強忍者やってます~ (講談社ラノベ文庫 そ 4-1-1) | 空山 トキ, 伍長 |本 | 通販 | Amazon