読書感想:凶乱令嬢ニア・リストン 2 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

 

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読書感想:凶乱令嬢ニア・リストン1 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で転生し「気」の力によって病魔を追い出して見せた我らが凶乱令嬢、ニアであるが。彼女自身は戦いを望む戦闘狂であるも、そう簡単には行かない、というのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。そも、彼女は正しく貴族の令嬢であり戦闘に赴く存在ではない。更に彼女を押しとどめるのは、「魔法映像」と「魔晶板」の技術である。

 

 

ニアの為に用意され、今まさに国へ広がりだそうとしているかの技術。その広告塔となっているニアは、広がるにつれて有名になっていく、動きを制限されていく。

 

「―――魔法映像を制する者は、世界を制する・・・・・・わたくしはそう思っています」

 

だがそれでも、ニアが今優先すべきはリストン家の思惑。前世の何も考えなくてよかった、という時代はもうない。貴族の一員である以上、優先すべきは家の利益。六歳となり入学したアルトワール学院で出会った、魔法映像の分野でニアを勝手にライバル視する少女、レリアと魔法映像を生かして王族の復権を目論む王女、ヒルデと仲良くなり。ヒルデの思惑に相乗りする事ともなり、そちらにも注力しなければいけなくなる。

 

「―――露払いは弟子の仕事よ。さ、行きなさい」

 

更に問題なのは、そもそもニアの戦闘欲を満たせる強者がこの平和ボケした王都には中々存在しないという事。弱者を狩っても腹が膨れる訳でもない、だが彼女が現状出会える強者と言っても、リノキスでも倒せる者くらい。弟子にも負けるような強者であるなら、師匠である自分が満足できるわけもなく。目をかけていたアンゼルも酒場を開店し営業に回る事で、彼女の血塗られた覇道についてこれる人間がいなくなる。

 

そんな彼女の元へアンゼルから持ち込まれたのは、違法の闇闘技場の話。そんな場所があると知れば戦闘欲を抑えることは出来ず、しかし観客には貴族もいる以上、出場なんてすれば一発で身バレ確定。悩んだニアは学院で武術を教える武人、ガンドルフの手を借り彼の娘として観客となり潜入する。しかし、リノキスはやはり追ってきた。彼女は選手として闘技場に潜り込みその力を見せつけ、「剣鬼」との異名を持つ剣豪、アスマが彼女に目を付けてしまう。

 

大一番、実力差は圧倒的、一気に窮地に陥るリノキス。

 

「高みを見せてあげるわ。武人にはそれが何よりの報酬でしょ?」

 

その決着の瞬間、物言いと言わんばかりにニアは乱入し。アスマの実力を見届け、武人として一撃で昏倒させてあげるのであった。

 

暗躍も小休止、日常を多めに描きながらもやっぱりバイオレンスする今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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